そのエアラインが日本路線をどんな時間帯で設定し、そして自社のハブ拠点からどのエリアに集中してネットワークを張り巡らせているか。私たちが実現できる旅も、それによってずいぶん変わってくる。今回選んだのは、アメリカン航空の羽田発便だ。羽田から早朝のニューヨークを経由し、フロリダ州南端の街マイアミへ。限られた時間をムダなく有効に活用することで、憧れだった美しき碧きカリブの休日を手に入れた(写真撮影:中西一朗)。
プールサイドにずらりと並ぶデッキチェアを眺めているだけで、休日の解放感が胸にあふれてくる。数え切れないくらいの数が用意されたそれらのチェアも、あと1時間もすれば水着やTシャツ、短パンといった軽装に着替えた人々で埋め尽くされるのだろう。
出航の時間が近づいてきた。16時になると、豪華客船「カーニバル・イマジネーション」号は、ここマイアミ港を離岸する。同行の写真家・中西一朗氏と私は、船の最上階デッキに出ていた。みんな木製のカバーに覆われた手すりから身を乗り出し、なかには大きく手を振っている人たちも。目線の先は、桟橋で見送る友人や家族たちなのだろう。私の隣で同じように手を振る年配の夫妻に「どなたか見送りに来ているんですか?」と声をかけてみた。
「ええ、娘夫婦がね。私たちの結婚50周年のお祝いにって、マイアミで暮らす彼女がこの旅をプレゼントしてくれたの」と言って笑みをこぼすのは、ニューヨークから来たというマグワイア夫人だ。「あなたたちは、どちらから?」
東京です、と答えると、マグワイア夫人は「まあ、東京からはるばる!」と声のトーンを上げた。そう、私たちははるばるやって来たのである。カリブ海へのクルーズ船に乗るために、アメリカン航空を利用し、ニューヨークで乗り継いで。実際、いまこうしてここに立っているのが、奇跡のようにも思えてくる。
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