羽田発、碧きカリブの優雅な休日秋本俊二の“飛行機と空と旅”の話(5/6 ページ)

» 2013年05月17日 08時00分 公開
[秋本俊二,Business Media 誠]

ディナーのあとは船上カジノで運だめし

 キーウエストやメキシコの人気リゾート・コズメル島について書いたが、クルーズ船の旅はもちろん、寄港地で下船している時間のほうがむしろ短い。旅程のほとんどを船の上で過ごす。乗客定員2025人というカーニバル・イマジネーション号は、とにかく巨大だ。乗組員だけでも1000人近くいて、船内には楽しみがいっぱい詰まっている。

飛行機と空と旅 最上階デッキで音楽に合わせて踊る人々

 レストランでのフルコースのディナーは至福のひとときだし、食事のとき以外は海側の窓のある部屋で書き物をしたり、仕事が終われば最上階デッキのプールサイドでのんびり時間を費やす。船内に数カ所あるショーラウンジではさまざまなプログラムが用意され、お気に入りのショータイムが近づくと、いい席を確保しようと早めに移動。カジノも24時間オープンしていて、私も毎晩入り浸った。

 まずは10ドルくらいを使って、スロットマシーンでその日の運だめし。初日は10ドルがアッと言う間に50ドルになったので、コインを現金に換え、それを軍資金にルーレットのテーブルに着いた。“ツキ”はルーレットでも変わらない。50ドルは短時間でさらに100ドルに倍増する。すると、ディーラーが年配の女性から若い男性に交代に。「よろしくお願いします」と挨拶をされ、顔を上げる。見たところ、まだ20代だろうか。

 「この仕事について、まだ2カ月なんですよ」と、テーブル越しに若いディーラーがほほ笑む。「不慣れな点があったら、大目に見てくださいね」

 なあに、大丈夫。すぐに慣れるさ。おそらくそんなことを私は呟いたのだろう。お酒も入っていたし、運がきていると思って、舞い上がっていたのかもしれない。相手はしかし、穏やかな表情を少しも崩さず、回転する円盤に白い小球を淡々ところがし続ける。もしかして怒らせてしまったのかも。そう気づいたのは、あとになってからだった。ふつうならもう少し遊ばせてくれると思うのだが、1時間後には見事にスカンピンに。たとえ2カ月のキャリアでも、プロはプロ──“本気”を出されてしまっては、まったく歯が立たない。

飛行機と空と旅飛行機と空と旅飛行機と空と旅 (左)ディナータイムでも心はひとつに(中)ショータイムには豊富なプログラムを用意(右)24時間営業のカジノは人が途切れない

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