1975年生まれ。時計ライター。講談社『ホット ドッグ・プレス』を経て、フリーランスに。時計学校を修了した実践派で、時計専門誌からファッション誌、Webなど幅広い媒体で時計記事を執筆。高級時計からカジュアルウォッチまでを守備範囲とし、カジュアルウォッチの検索サイト『Gressive Off Style』のディレクションも担当。著書に『成功者はなぜウブロの時計に惹かれるのか。』(幻冬舎)がある。
ロンジンは、創業以来クロノグラフにこだわってきたメーカーだ。1878年に懐中時計式のクロノグラフを生み出し、特にスポーツ計時のジャンルで活躍する。1913年には世界初とされる腕時計式クロノグラフを製造。このモデルはスタート、ストップ、リセットをすべて1つのボタンで操作する、ワンプッシュ式のクロノグラフだった。
現在のヴィンテージウオッチの世界でも、ロンジンのクロノグラフは圧倒的な人気を誇る。特に1930年代から1940年代にかけて作られたCal.L13ZNやCal.L30CHという手巻きクロノグラフムーブメントを搭載しているモデルたちは、ロンジンの時計の中で、というレベルに収まらず、すべてのヴィンテージ クロノグラフの中で別格の扱いを受けている。
これらのムーブメントは高精度であることはもちろんのこと、大型のパーツを使っているため耐久性にも優れている。しかもメカニズム自体のレイアウトやバランスがとても美しいため、何十年を経た現代であっても評価されるのだ。
つまり優れた自社ムーブメントも、ロンジンが誇るべき遺産(=ヘリテージ)の1つといえるだろう。
ただし現在のロンジンは、汎用ムーブメントを搭載している。その供給元は世界最大のムーブメント専用会社のETA社だ。安定した性能とメンテナンス性に優れており、機械式時計を動かす心臓部として問題のないポテンシャルを持っている。
もちろんロンジンほどの規模の会社であれば自社ムーブメントを製造することは容易だろう。しかし優れたスイス時計を適切な価格で提供するというロンジンの経営戦略に背いてまでコストの高い自社ムーブメントを製造する必要はない。
それにロンジンはETA社に対して、専用ムーブメントの製造を依頼することができる。「ロンジン コラムホイール クロノグラフ」は、ETA社と共同開発した特別なクロノグラフムーブメントを搭載している。これこそがロンジンが培ってきたクロノグラフの伝統を明確にするためのモデルだ。
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