ロンジンは航空機時代が始まった1920年代から、航空産業と深い関係にあった。航空計器を製作し、パイロットはロンジンの懐中時計を愛用。FAI(国際航空連盟)やAAA(米国航空協会)のオフィシャルウオッチとなり、世界中で行われる飛行記録の公式計時も担当している。ロンジンの発展は、航空機の発展とともにあったのだ。
2013年の新作としてロンジンのヘリテージコレクションに加わった「ロンジン アビゲーション オーバーサイズ クラウン」は、1920年代に作られたロンジンの傑作を基にデザインされている。特徴はマーカーがついた回転ベゼル。これは経過時間や設定時間を知るために用いる、シンプルだけど実践的な機構だ。
さらに大型のリューズもアクセントになっている。これはグローブ着用時でも、時計の操作性を向上させるため。そして操作時に誤ってベゼルに触れてしまわないように、巻き芯を長めに設計しているのも特徴だ。
ちなみに「アビゲーション」というのは、アビエーション(航空学)とナビゲーション(航海術)を融合させた造語であり、ロンジンのパイロットウオッチに与えられる特別な名称。航空計器のひとつとして、極限状態でも使いこなせるようにという目的から生まれたモデルたちなので、ディテールまで嘘がない。
だからこそロンジンのパイロットウオッチは魅力的なのだろう。必要がそのまま形になったデザインは、時代を超えても廃れることなく愛される。これこそが、時計文化の「遺産(ヘリテージ)」と呼ぶにふさわしい。
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