メタルケースの電波ソーラーは何が難しい?――2004年のOCEANUSを振り返るOCEANUS10周年(3/5 ページ)

» 2014年03月27日 08時00分 公開
[吉村哲樹,Business Media 誠]

アナログ時計の表現を追及した結果が「Smart Access」に結実

「OCW-T1000」(2010)

 2010年に発売された「OCW-T1000」では、リューズを使って時計の機能をシンプルに操作できる「Smart Access」が初めて搭載された(参照記事)。岡本氏によればこの機能はユーザーの使い勝手を高めるとともに、「カシオならではのアナログ時計の表現」を模索する中でたどり着いた姿なのだという。

 「『デジタルメーカーであるカシオならではのアナログ時計とは?』という命題に取り組む中で、『デジタル機器のような使い勝手をアナログ時計で表現できないか』という考えに行き着きました。デジタル機器では、モードボタンを押すと画面の動作モードがパッパッと切り替えられますよね。あれと同じ操作感を、リューズの操作でセンター針が機能を指し示すことによって、アナログ時計上で再現したのです」


OCEANUS Manta「OCW-S2000」(2011)

 さらには、このモデルと同じ構造ながら、さらなるケースの薄型化と文字盤の質感アップを実現した「OCW-S2000」、いわゆる「Manta」モデルが登場したのが、翌2011年のことだった(参照記事)。このモデルでは、遂に文字盤の透過率は25%にまで減った。もちろん、その分電力消費量をさらに抑える必要があったのだが、その際に役立ったのが、何と女性用ウォッチの技術だったのだという。

 「時計モジュールの中で大きく電力を消費する部品にはモーター、LSI、そして受信電流の3つがあります。このうち後者2つは、既に消費電力削減は行き着く所まで行っていました。そこで、残るモーターの消費電力を削るために考えたのが、女性用ウォッチブランド『SHEEN』のモーター技術を応用することでした」

 ただでさえ小型な女性用モデルの中でも、特に小型なものは、どうしても電池サイズを小さくせざるを得ない。となればモーターも、小さな電池で駆動できるよう、電力消費量を抑えないといけない。こうして開発された省電力型モーターが、実はOCW-S2000の内部にも組み込まれているのである。

 もちろん、文字盤デザインの自由度はこれまでになく向上し、もうパッと見にはとてもプラスチック製の文字盤だとは分からないほどまでに質感が向上した。文字盤に配置するデザインパーツも、かつては「金属調のシール」を貼るのが精一杯だったところが、OCW-S2000では本物の金属のパーツが複数配置され、高級感を演出できるようになった。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.