キャビンスペースも広がった。787は同じボーイングの中型機767とよく比較されるが、ボディの太さは767に比べてかなりゆったりサイズ。中型機というより、どちらかというと大型機に近い感覚である。
「横幅はゆったりしているし、天井もずいぶん高いですね」
倉谷氏はそう言って、カメラ機材の入ったバッグを頭上のラックにしまい込んだ。実際、天井は同サイズの中型機よりも20センチほど高くなり、荷物入れには大きめのバッグが縦に3個並べて収納できるよう設計されている。
成田からデンバーへのUA138便は、定刻の17時40分(3月までの冬スケジュール)に31番ゲートを離れた。この便のパーサーであるジーニー・カーターさんが私たちの席まで来て、キャビン担当の乗務員たちに目で合図を送りながら「何か困ったことや希望があれば、近くのクルーにいつでも遠慮なくお申し付けくださいね」と微笑む。ビジネスクラスのキャビンを担当するのは、佐藤直美さんとイセル・ガーザさん。とてもフレンドリーで、親切なクルーたちだ。今回の取材で乗った私たちを、みんな心から歓迎してくれている。
米国コロラド州の州都デンバーへ──いよいよ約6000マイル(約9600キロ)の旅の始まりだ。
離陸して1時間が経過した。キャビンでは食事のサービスが始まっている。できれば複数の種類を撮影して紹介したいと思っていたので、私と倉谷氏はそれぞれ別のメニューを注文することに。オーダーを取りにきた日本人クルーの佐藤さんに「4種類のメニューの中から2つを選ぶとしたら、どれがおすすめですか?」と聞いてみた。
「1つはビーフのテンダーロインステーキ、もう1つは縞すずきのフィレでいかがですか?」と佐藤さんが答える。「和食もおすすめなのですが、残念ながら本日は注文が多く、もう切らしてしまいました」
アドバイスどおり、私たちはメインコースにビーフと魚の料理を頼んだ。倉谷氏は白のカリフォルニアワインを、私はボルドー産の赤ワインを飲みながら料理が配膳されるのを待っていると、ギャレー(厨房)からパーサーのカーターさんが倉谷氏を手招きして呼んでいる。何だろう? 彼は首をかしげながら、カメラを持ってギャレーに行き、しばらくして席に戻って私にこう報告した。
「他のお客さんに届ける前の和食メニューを、わざわざギャレーで撮影させてくれました。みんな本当に親切ですね。その心遣いに、ちょっと感動しましたよ」
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