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» 2014年06月13日 10時00分 公開

パイロット不足で国内LCCが大量欠航――その背景にあるものは?秋本俊二の“飛行機と空と旅”の話(2/3 ページ)

[秋本俊二,Business Media 誠]

バックアップ体制がとれないLCC体質

 新しいパイロットが採用できても、明日からすぐに飛ばせるわけではない。ライセンスは持っていても、路線パイロットとして活躍するには実際に受け持つ路線での実地訓練などの準備期間が必要である。採用がうまくいかない場合に見直しを迫られるのは数カ月後の運航計画であって、いきなり「来月から欠航します」というのはおかしい。ピーチやバニラエアが計画どおりの運航をできなくなった大きな要因は、おそらく現役機長らの「病欠」のほうなのだろう。そこに、LCCの弱点が見え隠れする。弱点というより「本質」と書いたほうが正確かもしれない。

飛行機と空と旅 バニラエアでは病欠や退職者が相次ぎ、機長3名が不足した

 大手エアラインに勤務するパイロットに1カ月の乗務スケジュール表を見せてもらうと、フライトや休日の合間に必ず「スタンバイ」という日が計5日程度ある。スタンバイの日は基本的にフライトはなく、いわば「オフ」なのだが、乗務予定のパイロットに病気やアクシデントで欠員が出た場合は代わりに乗務に就かなければならない。そうやって組織的にバックアップ体制をとることで、大手は欠航や予定外の減便を防いできた。

 LCCには、それができない。乗務につく予定のない人を遊ばせておいては、人件費がかさむだけだからだ。機材(飛行機)も人員もぎりぎりで切り盛りしているLCCでは、パイロットが病気になるとすぐに欠航に追い込まれる。「大手みたいにバックアップ体制をつくればいいのに!」と思う人もいるかもしれないが、大手だって別に損をしてやっているわけではなく、そのぶんの人件費がちゃんとチケット代に乗せられているのだ。だから、東京から札幌や那覇に飛ぶのに、正規運賃で買うと片道2万5000円とか3万円もする。LCCならそれが5000円からせいぜい1万円程度。格安運賃で飛べる代わりに、運が悪いと乗る予定だった便が欠航になって旅行に行けなくなる──そんなリスクがあるわけだ。

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