――横一列が“2-3-2”という配列は、必須だったのでしょうか? 最近は中央の3席並びを2席に減らした、“2-2-2”配列が主流になっていると思いますが。
藤島: “2-2-2”どころか、現在は“1-2-1”も出てきていますよね。ですが、どんなレイアウトでもニーズを満たすだけの席数は置かなければなりません。そこで考案されたのが、シートピッチ(座席の前後間隔)を詰めようと進行方向に対してシートを斜めに配置する「ヘリンボーン型」だったり、後部席の人の足が前の席のサイドテーブルの下にもぐり込むように前後で“互い違い”の形でレイアウトする「スタッガード型」も登場しました。
――どれもユニークですが、一長一短ありますよね。
藤島: スタッガード型も快適ですが、肩幅の部分にある程度のスペースを確保しようとすると、そのぶん足の周りが狭くなる。互い違いになっている関係で、その欠点は解消できません。私たちは、肩幅も足もとも同じ広さの長方形ブースを一人ひとりに確保することを目指したので、前の席との間隔をゆったりとらなければならない。必要な数を置くには、どうしても“2-3-2”の配列が必須だったわけです。
――それを実現するための策を図面上で探り、次のステップとしては、その図面をシートメーカーに渡して試作品の製作に取りかかってもらうわけですね。
藤島: 通常はそういう段取りを踏みますが、今回のプロジェクトではその間にもう1ステップありました。実際にどんなシートになるのか? 2次元の図面だけでは私自身も確信が持てなかったので、DIYショップで買い込んだ発砲スチロールなどを羽田の整備場に持ち込み、自分で実物大の模型を作ってみたんです。
――自分で作っちゃった?
藤島: ええ。それも1席だけでなく、窓側、通路側、中央と3つの種類を。どうしても3Dで見てみたかったものですから。整備場の人たちは「何やってるんだ?」という顔で見ていましたよ(笑)。シートメーカーに試作品を発注して、それが出来てくるのを待つ時間も惜しかったですしね。でも模型を作ってみたお陰で、スイッチ類とか小物入れ、通路の幅などの実データも得られました。
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