サファリだけじゃない、南アフリカへの日本人観光客が増えている:秋本俊二の“飛行機と空と旅”の話(4/4 ページ)
日本から南アフリカへの旅行者が、2012年は前年比30.9%増の3万4415人と過去最多を記録した。南ア旅行の人気が高まっている背景は? 今後の展望と課題は? 同国観光局の責任者に聞いた。
異文化交流でこころを豊かに
──その結果として、日本の人と南アフリカの人の相互理解がより深まっていくとうれしいですね。
ブラッドリー・ブラウワー(Bradley Brouwer)/南アフリカ観光局・アジアパシフィック地区リージョナル・マネージャー。これまでの職歴の大半を南アフリカの観光関連分野で費やし、同国の観光産業の成長に貢献。南アのシェフ協会メンバーでもあり、料理コンテストの審査員を務めるほどのグルメ。7つの異なるアフリカの言語を流暢に操る
ブラウワーさん: ええ。文化や習慣の違う人同士が出会うというのは、本当に楽しいですから。南アフリカの人間は、みんなじつにあっけらかんとしています。嬉しいと、すぐに楽器を鳴らしてみんなで踊り出しますし(笑)。そういう人たちと対面して、最初は「こんな人たちに心を許して大丈夫なのだろうか?」と不安に思う日本人旅行者も出てくるでしょう。ですが、気が付くと彼らの輪の中に自然に引っぱり込まれてしまっている自分を発見するはずです。そういう、オープンで不思議な感覚を彼れらは持っています。
──ただしオープンでフレンドリーとはいっても、私は欧米型のオープンさとはちょっと違うなと感じました。南アフリカの人たちも日本人と同じでシャイな部分もあるんだな、と。声をかけたいんだけど、相手の懐に図々しく入っていくのは失礼だからと、最初は陰でそっと様子をうかがっている。で、お互いに目が合って微笑みを交わすと、すーっと寄ってきて歓迎が始まるというような。そういう意味では日本人ととても似ているし、もっともっと親密な友だちになれる間柄だという印象を私は持ちました。
ブラウワーさん: まったくおっしゃる通りです。私たちもそうした出会いのために、これからもっともっと頑張っていきたいですね。2つの国の人たちがお互いに知り合ったり文化を理解し合うことは、心が豊かさにもつながるし、それによって2つの国の絆もより強固になります。その意味では、旅行業・観光業というのは平和を築くためにもとても重要な役割を担っているんだと自負しています。
──これからのますますのご活躍を期待しています。ありがとうございました。
著者プロフィール:秋本俊二
作家/航空ジャーナリスト。東京都出身。学生時代に航空工学を専攻後、数回の海外生活を経て取材・文筆活動をスタート。世界の空を旅しながら各メディアにレポートやエッセイを発表するほか、テレビ・ラジオのコメンテーターとしても活動。
著書に『ボーイング787まるごと解説』『ボーイング777機長まるごと体験』『みんなが知りたい旅客機の疑問50』『もっと知りたい旅客機の疑問50』『みんなが知りたい空港の疑問50』『エアバスA380まるごと解説』(以上ソフトバンククリエイティブ/サイエンスアイ新書)、『新いますぐ飛行機に乗りたくなる本』(NNA)など。
Blog『雲の上の書斎から』は多くの旅行ファン、航空ファンのほかエアライン関係者やマスコミ関係者にも支持を集めている。
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