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コラム
» 2004年11月30日 00時00分 公開

ストレージの仮想化による費用対効果の改善ITソリューションフロンティア:ソリューション

近年、急速に進むデータの大容量化とともに、ストレージに対する需要が、飛躍的に高まってきている。ところが従来、ストレージの導入は、メーカー間で相互運用性が十分確立されていなかったため、費用対効果の面で大きな問題を抱えていた。本稿では、この問題の有効な解決手段であるストレージの仮想化技術について解説する。

[高野裕一,野村総合研究所]

費用対効果が十分議論されないストレージ

 近年、ビジネスシーンにおいてやりとりされるデータは、ファイル数、その容量ともに飛躍的に増大している。その背景にあるのは、インターネットの普及にともなうコミュニケーション手段の多様化と、ブロードバンド環境の浸透によるハイスピード化であることは言うまでもない。こうした時代の流れとともに、ストレージ(外部データ記録装置)に対する需要は高まる一方である。

 ところが、システムプラットフォームのなかで、サブシステムであるストレージを、メインシステムと連携させるHBA(ホストバスアダプター)、ファイバーチャネルスイッチのインターオペラビリティ(相互運用性)は十分確立されていない。

 とくに、ストレージに関連するソフトウェアなどがメーカー間で互換性がないために、各サーバーから異なるメーカーのストレージを混在して利用することができないのが現状である。

 このため、複数のメーカーのストレージを導入しようとすると、ストレージサブシステムを個別に開発しなければならず、重複投資を余儀なくされることになる。こうした無駄を省くため、実際には、単一ベンダーのストレージを継続利用する場合がほとんどである。このような理由によって、競争原理が十分に働かず、価格下落も思うように進んでいない(図1参照)。

図1

 一度、運用フェーズに移行したシステムを拡張する際、ストレージをより費用対効果の高いものに変更しようとすれば、費用も手間もかかってしまう。このため、ストレージに関しては、費用対効果が十分に議論されないまま継続利用、もしくは同一メーカーの後継機を使用している場合が多い。いわゆる“塩漬け”になってしまっているのである。

仮想化技術による費用対効果の改善

 こうした問題を解決する方法として、注目されているのが、ストレージの仮想化技術である。仮想化技術とは、ソフト的に複数のストレージサブシステムを一個の巨大ストレージに仕立て上げようというもので、これならば、異なるメーカーのストレージであっても、並列利用することが可能となる。

 これにより、従来のスケールアップ(大型機への入替)という記憶領域の増設手段に加えて、異なるメーカーのストレージ導入も含めたスケールアウト(機器の並列利用)という選択肢が増えることとなり、効率的な設備投資を追求できることとなる(図2参照)。

図2

 すなわち、増設時における機器の市場トレンドをみながら、最適な増設手段を選択でき、費用対効果を高められるわけである。

仮想化技術を活用する2つのポイント

 ストレージの仮想化技術は、ストレージ増設時の機種の選択肢を増やすことにつながるため、市場全体としても価格競争原理がより強く働くこととなる。

 しかし、企業において各種システムが稼動し、相互に連携することが期待されている今日、個別システム、または個別組織ごとにストレージを管理していたのでは、十分なストレージ活用がなされているとは言いがたい。このため、組織全体で仮想化技術を導入し、有効活用していくポイントとして、次の2 点をあげることができる。

(1)扱うデータの標準化(組織全体でのデータの重要性の統一化)

(2)“組織全体のデータの保存システム”としてとらえたストレージの利用方針の確立

 これらのポイントは、“組織全体”で保有するデータの重要度や利用頻度などを整理し、重要性に応じた機器の割り当てを行うということにほかならない。

 今後、ストレージの相互接続性は、ますます高まっていくものと思われる。しかし、すでに導入されている“相互接続性のない”ストレージの有効活用を可能ならしめ、柔軟な記憶領域の拡張を実現できるという2点において、ストレージの仮想化技術はストレージ技術の中核を担うと考えられる。

 このような、コスト削減に有効な技術を積極的に活用することが、“先を見越したシステム投資”において有効な手段となるであろう。

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