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PCは輸出、通信機器は国内需要で成長〜中国のIT関連製品市場予測海外リサーチ情報<Electronic Trend Publication>

» 2004年12月24日 16時40分 公開
[水澤元典,日本ストラテジック]

 日本ストラテジックは、米国Electronic Trend Publication社による、「中国のエレクトロニクス製品別生産性・市場2003〜2008」の調査結果をまとめ、発表した。

 これによると、中国の2003年〜2008年におけるエレクトロニクス製品生産年間伸び率は17.2%に達すると予測している。中でもIT関連機器(コンピュータ、通信関連)生産量の占める割合は、2003年は64%となっており、2008年には68%近くを占める、高い生産成長率が見込まれている。

図2

 これらコンピュータ関連と通信機器関連(モバイル、ネットワーク機器)の多くは輸出対象製品だが、次に生産量の成長が見込まれる分野と見られるDVD、デジタルカメラ、コンピュータゲーム、家電、オフィス機器などは、輸出と国内の両市場が対象となっている。また、運輸関連エレクトロニクス製品生産は、中国の航空インフラ、自動車産業の伸びに伴い急成長しつつあり、医療・工業機器関連エレクトロニクス製品生産量もそれに続く勢いだ。

 コンピュータ・周辺機器およびオフィス機器生産量の成長には、組み立てにおける安い労働力を武器にした世界市場への輸出製品の貢献が寄与している。今後も国内市場向けより輸出製品として伸び、これら製品の生産量は2008年までには現在の2.5倍になり、コンピュータ関連機器における全世界生産の32%は中国が担うと見られている。なお、中国が輸出先市場とするのは、中国以外のアジア、北米、欧州である。

 もうひとつの高生産分野である通信関連機器は、2002年から2003年の生産成長率は17%増。通信機器は、中国国内で最も需要の高い製品分野のひとつで、特に電話においては、無線モバイル電話と同時に地方地域での標準電話としての利用市場が非常に高い。加えて、世界市場へ向けた通信事業者利用機器生産も拡大しつつある。また、インターネット関連、データネットワーク機器分野に強いことも、通信機器生産を高める要因となっており、通信機器分野は、コンピュータ機器分野と比べ、国内需要が高いことが特徴である。

図1

エレクトロニクス分野における世界の“ホットスポット”

 中国は、平均時給1ドル、平均月給160ドル(諸手当を除く)という安い人件費利用、強力なインフラ構築を目的として、年々多くの世界企業が生産拠点として中国市場に参入しており、エレクトロニクス分野における世界の“ホットスポット”してのイメージをより強くしている。

 従来、中国における外国資本参入の障壁と見られていた知的所有権(IP)の盗用、一貫した品質保持の困難、合弁事業での権限制約、会計制度のあいまいさなども徐々に解消されつつある。しかし、中国政府が推し進める積極的な生産拡大路線に反して、銀行/金融の弱体傾向、生産性が将来悪化する可能性を持つ社会環境/関係といった欠点が存在しているなど、課題もまだ残されている。

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