コラム
» 2004年03月08日 18時13分 UPDATE

鼻歌からの検索も可能に?――音楽ビジネスを加速させるGracenoteの新技術 (1/2)

楽曲の情報検索サービスを提供している米Gracenoteが、楽曲の波形データで情報検索するという新技術を開発した。これを使えば、LPからの録音やダウンロードで購入した楽曲はもちろん、その場に流れている音楽の情報を携帯電話を使って検索することも可能だという。新技術のもたらす可能性について、来日した同社トップに話を聞いた。

[小寺信良,ITmedia]

 多くのジュークボックスソフトは、音楽CDから音楽をPCに取り込むとき、自動的に曲名やアーティスト名などのデータをデータベースから検索して、IDタグやファイル名に入力してくれる機能を持つ。一般には「CDDB」として知られるこの検索サービスを提供しているのが、米Gracenote社である。

 先週、同社のCEOであるクレイグ・パーマー(Craig Palmer)氏、CTO(Chief Technology Officer)のタイ・ロバーツ(Ty Roberts)氏が、新技術のプロモーションを兼ねて来日した。今回は彼らのインタビューを通じて、Gracenoteの持つ技術と、音楽IDビジネスのビジョンについて考えてみる。

jn_sany0035.jpg 左からGracenote CEO クレイグ・パーマー氏、CTO タイ・ロバーツ氏

音声から音楽情報を検索

 現在Gracenoteでは、CDDBとして楽曲で約3000万曲、CDにして約280万枚分の音楽IDデータを保有している。例えばiTunesにCDを突っ込んで音楽情報を検索するとしよう。CDDBのエンジンはまず、音楽CDのTOC(Table Of Contents)のデータを読み取る。そのデータを使ってデータベースを検索し、特定のCDの情報を返す、という仕組みだ。

 お気付きのように、このサービスの限界は、音楽CD以外のメディアからはデータベースの検索ができない、という点にある。例えばLPレコードを録音したものであったり、ダウンロードしてバラで買った曲などに対しては、検索する方法がないわけだ。特に米国では楽曲のダウンロード販売が本格的に立ち上がったこともあって、“音楽の入れ物”が必ずしもCDではないという現象が一般化しつつある。

 Gracenoteの「MusicID」は、音楽の波形データを元に、楽曲の情報を検索できる技術だ。波形データとはいっても、それをそのままデータベース化したのでは、曲データそのものを保有することと変わりない。これではデータ量が膨大になりすぎる。

 そこでMusicIDでは、まず音楽の波形データから、その特徴的な要素のみを抽出する。言わば音楽のガイコツみたいな、ユニークでありながら軽いデータを作り出すわけである。これを彼らは「FingerPrint(指紋)」と呼んでいる。そのFingerPrintの情報を、CDDBと同期させるというわけだ。

 だがFingerPrintを作り出すためには、元となる楽曲の波形が必要だ。自社でそれをやるということは、世界中の音楽をいったん自社で買うということになる。しかしそれではビジネスにならない。そこで彼らはうまい方法を考えた。

 CDDB検索エンジンの中に、FingerPrint生成機能を埋め込んだのである。つまりCDDBのユーザーがCDを突っ込んでIDを検索するときに、その楽曲のFingerPrintをユーザーのPC内で作り、CDDBに送信するという仕掛けだ。

 そもそも初期のCDDBでは、検索しても見つからなかったCD情報をユーザーが自分で入力し、それをCDDBに登録するという機能を持っていた。言わばCDDBは、ユーザー自身が成長させていったデータベースなのである(関連記事)。FingerPrintは、それと同じことをユーザーが気が付かないうちにやってしまう。こうして集められたFingerPrintは、現在400万曲。現在も週2〜3万曲といったペースで増え続けている。

MusicIDのサービス

 このFingerPrintを使って音楽情報を検索するのが、MusicIDである。これを搭載した製品が、先週発表されたオンキヨーのジュークボックスソフト「CarryOn Music Ver.4.00」だ(関連記事)。

jn_sany0007.jpg LPの録音からでも音楽情報が検索できる「CarryOn Music Ver.4.00」

 このソフトでは、レコードやカセットテープからPCに録音した音楽情報を検索し、MP3などのIDタグに自動入力してくれる。同様の技術として米MoodLogic社の「MoodLogic」があるが、GracenoteのMusicIDは日本語に対応していること、ユーザーから直接課金しないといった特徴がある。

 MusicIDは、PCソフト以外にも活用法がある。音声通話を使って曲の情報を探す、「Mobile MusicID」というのがそれだ。

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