コラム
» 2004年09月06日 10時27分 UPDATE

デジタル音楽ストアのダメなところ

iTunes Music Storeのデビューから約1年半が経過したが、デジタル音楽サービスにはまだまだ期待外れなところがたくさんある。1曲当たりの価格、音質、互換性といった問題について取り上げてみよう。(IDG)

[IDG Japan]
IDG

 RealNetworksが先ごろ思い切った策を打ち、RealPlayer Music Storeで1曲当たり49セントという無茶な価格で楽曲を販売する期間限定キャンペーンを立ち上げた(関連記事参照)。競合サービスの価格は1曲当たり88〜99セントだ。RealNetworksをキャンペーンに駆り立てたのは何なのか? 同社は音楽ストアでの売上を伸ばし、ひいてはHarmonyソフトの宣伝に役立てようとしているのだ。Harmonyは、RealPlayer Music Storeで購入した楽曲を、各種のデジタル権利管理(DRM)技術を使った携帯プレーヤーに対応させるソフトだ。

 もちろん、RealNetworksは基本的に赤字で楽曲を販売しているのだから、この価格が続くわけはない。私としては、このキャンペーンが終わってしまったら残念だ。皆さんがRealNetworksのことをどう考えていようと、(高音質の192Kbps AACファイル、5ドルのアルバム、広範な互換性といった)このような形態が、ほかのどのサービスよりも、望み通りの音楽ストアの形にずっと近いことには同意せざるを得ない。

 デジタル音楽はこの1年で紆余曲折を経てきたが、まだまだこれまで以上にずっと多くの問題に取り組まなければならない。今月は、幾つかの解決すべき問題について取り上げていこう。

値段が高すぎる

 シングル曲やアルバム曲の価格は今でも中身の割に高すぎるのだが、レコード会社がライセンス料を引き上げようと画策しているという話はなくならない。そうなれば、オンラインストアの一部のアルバムや楽曲の値上がりにつながってしまう。デジタル音楽は、今より価格を引き下げるべきなのだ。製造コストがかからず、保管費もなければ、物理的な流通経路もない。サーバや帯域にかかる費用も、デジタル音楽ストアが小売店舗を構える必要がないことを考えれば、相殺されていると思う(結局のところ、Amazon.comの価格が安い理由もこれだ)。

 CDが登場した時、テープと比べて製造コストは急速に下落し始めた。CDはテープより高く売られていたが、それでも消費者は、品質が改善されていたために購入していた。CDはより音質が高く、時間が経過しても音質の劣化がない。こんなふうに、時間が経つごとに製品の品質は向上し、悪くなることはないものなのだ。

 では、ここで簡単に比較してみよう。CDの価格は12〜18ドル、音質はオリジナルのままで、(もちろんコピー防止の制約はあるが)音楽をどこにでも持ちこめる。同じアルバムを10ドル支払ってダウンロードすると、たちまち音質は悪化し、購入した楽曲の利用方法については多くの制約が付いてくる。

 RealNetworksはキャンペーン価格で1週間のうちに100万曲を売り上げたというから、消費者にとって「低価格」が購入動機になることは明らかだ。デジタル音楽は既に、高額なライセンス料が1曲当たりの料金の大半を占めているために、利幅の少ないビジネスになっている。この状況は、レコード会社がライセンス料を引き下げない限り変わりそうにない。

音質がまちまち

 デジタル音楽が、流通形式としてゆくゆくはCDに取って代わるつもりなら、RealNetworksが提供する192Kbpsの楽曲ファイルの品質を最低ラインにするべきだ。192Kbpsは、今ではぜいたくなものではない。大半のストアが現在販売している128Kbpsのファイルでもいいとは思う――音楽を常に車内か、ジョギングしながら聴いているのならば。しかし、私のような人間なら、時々は座って素晴らしいステレオ環境で聴きたいだろう。

 私は先月、同僚のPC World編集者たちと、オーディオマニアの家に実地調査に行った。Digital World誌創刊号の特集記事用にオーディオテストを実施し、ハイエンド機器で圧縮ファイルとCD品質のファイルを流して、音楽にうるさいマニアが違いに気づくか試した。

 とても意外だったのは、AAC形式のパフォーマンスのよさだ。192KbpsのAACファイルの大半は、可逆圧縮形式ファイルとの違いが分からなかった。私だけでなく、NHT(Now Hear This)の音響エンジニアや、ハイエンドステレオ店Audio Highのオーナーもいたのにだ。しかし、192Kbps以下に下げると、音質の違いは急にはっきりと分かるようになる。

 以前のコラムで言ったように、私は新しい楽曲を2度買うという考え方は気に入らない。10ドル払ってダウンロードして、さらに15ドルでCDも買うというのは、納得いかないのだ。ダウンロード価格をアルバム当たり5ドルに下げられれば好ましいが、要するに、2度買うような状況を避けたいと考えているのだ。私が望む通りにCDに焼いたり、再リッピングできるファイルを可逆圧縮形式で保存できるのなら、喜んでCD価格でアルバムをダウンロードするだろう。誰かがそんなやり方で楽曲を売ってくれさえすれば。

互換性が問題になってはならない

 オンライン音楽ストアは、DVDで映画の提供を始めた時の教訓を学ぶべきだ。DVDでは最初から統一したアプローチが採られ、その点が成功に大きく貢献した。VHS対ベータのように発展を遅らせる構図は要らない。最初から正しく機能する単一のフォーマットがあればいいのだ。

 CDを購入するときには、Tower Recordsで買ったCDが家にあるDenonのCDプレーヤーで再生できるかどうかなんて気にする必要はない。しかし、デジタル音楽の世界にはこれは当てはまらず、購入するオーディオプレーヤーで音楽を買える先が決められてしまう。

 このように複数のDRMフォーマットを抱えた現状はうまくいっていない。RealNetworksのやり方を支持するかどうかは別にして、少なくともこの問題に対処しようとした姿勢は評価しなくてはいけない。どこかの時点で、1つのフォーマットが勝利するのか、それともRealNetworksのHarmonyのようなソフトが溝を埋めることになるのだろうか? 結論が出るまでに、時間がかからないことを期待するばかりだ。

皆さんの意見は?

 残念ながら、こうした問題点はデジタル音楽の現状に対する私の不満点の主な部分にしかすぎない。この問題については何時間でも話せる。皆さんが現状で直してほしいと思う点を教えてほしい。次のコラムで最善策を幾つか提示しよう。

MSN Music

 Microsoftが最近プレビュー版を立ち上げた新音楽ストア「MSN Music」は、Windows Media Player 10かInternet Explorerからアクセスでき、WMA形式で50万曲以上を提供している。楽曲は160〜256Kbpsのビットレートでエンコードされており、ダウンロードする楽曲は比較的高音質になる。既にMSNを利用しているユーザーは、これから多くの機能が統合されるのを目にすることだろう。例えばMSNで「Radiohead」を検索した時に、検索結果の1つがMSN Musicとリンクされる可能性は高い。また、MSN Radioで聴いている楽曲を容易に購入できるようにもなるだろう。

私がはまっている音楽

 バンドTHE NEW PORNOGRAPHERSのリーダーとして知られるA・C・ニューマンの新作、恐らくこの3年間に聴いたポップアルバムの中で最高と思われる「The Slow Wonder」がリリースされた。しかし、たった1つだけ問題がある。30分しかない。短すぎるよ、もっと聴きたいのに!

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