コラム
» 2007年05月25日 13時00分 UPDATE

科学なニュースとニュースの科学:【第12回】太陽系外惑星を探せ2 〜生命が存在できる条件とは?

前回、太陽系外惑星を取り上げましたが、脱稿後にさらに面白いニュースが流れました。液体としての水が存在できる可能性のある系外惑星が発見されたというのです。

[堺三保,ITmedia]

 さて、今回は前回の続きで、太陽以外の恒星の周囲を回っている惑星の中に、地球型の惑星が見つかったという話をしたい。

 去る4月25日、ヨーロッパの研究者たちが、てんびん座の方向、20.5光年の距離にあるグリーゼ981(Gliese 581)という恒星のまわりをまわっている惑星を発見したと発表した

 この惑星は、質量が地球の約5倍、半径が地球の約1.5倍ということで、地球型、つまり木星や土星のようなガス惑星ではなく、しっかりとした固体でできている惑星である可能性が高いという。

 でも、こうした地球型らしき惑星の発見については、すでに2004年に1件(質量が地球の14倍程度)、2005年にも1件(質量が地球の6〜7倍)報じられている。

 今回発見された惑星(グリーゼ581Cと命名された)が特に注目を集めているのは、その公転軌道が“ハビタブルゾーン”と呼ばれる領域内にあると考えられているからだ。

 ハビタブルゾーンとは、ひとことで言ってしまえば惑星の恒星からの距離が近すぎず、また遠すぎもせず、惑星の表面上にある水が液体の状態で存在できるような表面温度を保っていられるような領域を意味する。太陽系で言えばまさに地球の公転軌道が、この領域内を通っていることになる。

 グリーゼ581Cの公転軌道は、地球と太陽の距離よりもぐっと主星であるグリーゼ581に近い(約4分の1しかなく、公転周期もたったの13日)が、グリーゼ581が太陽よりも暗い(つまり発するエネルギーの弱い)赤色矮星であるため、ハビタブルゾーンも太陽系よりも恒星の近くにあると考えられ、グリーゼ581Cの表面温度は摂氏0〜40度程度になると考えられているのだ。

イラスト

 では、なぜ水が液体の形で存在することがそんなに重要なのか。

 それは、「液体の水がある」ことが、「生命活動をおこなうための基本的な条件」となると考えられているからだ。生き物が生きていく上で、水は必要不可欠というわけである。

 さらに言えば、惑星の軌道がハビタブルゾーン内にあるだけでは不充分で、それがある程度以上の質量を持った地球型惑星である必要がある。あまりに軽すぎると、重力も低くなり大気の保持が難しくなってしまう。そして、ほとんど大気のない状態では、気圧が低すぎて水は液体の状態では存在できなくなってしまうのだ(大気が薄いと、断熱効果がなくなって温度が低くなってしまうとか、宇宙から降り注ぐ放射線や隕石に対する保護効果が弱いとか、他にも問題は山積みとなる)。

 地球型、つまり固い地表があることは、水が液体で存在できるためのもう1つの条件である。木星のようなガス惑星は、気体の水素やヘリウムに覆われている高重力の世界であって、液体の水が存在できるような状況ではないからだ。

 つまり、今回発見されたグリーゼ581Cは、「ハビタブルゾーン内に存在する」「適度な質量を持った」「地球型惑星」という、「生命が存在できる」ための3つの条件を併せ持っているため、「もしかしたら、生物がいるかも」という期待がふくらんでいるのだ。

 グリーゼ581Cに生物がいなかったとしても、太陽系内には地球以外には存在していない、これらの条件を兼ね備えた惑星が、太陽系外で発見されたということは、探せばもっと同じような惑星があるということで、今まで仮定の話でしかなかった「地球外生命体の存在」可能性が、一気に高まったと言えるのだ。

 さらに言えば、これはあくまで地球の生物と同じような生物がいる可能性の話であって、生命の可能性をもっと広げて考えることもできる。

 例えば(SF小説では昔からあるアイデアだが)、水の代わりに液体のアンモニアを利用する生命がいたとしたら、ハビタブルゾーンはもっと広いことになるし、メタンやアンモニアの大気中に浮遊して生活するような生命がいるとしたら、木星のような巨大ガス惑星上にも生命が存在するかもしれない。

 つまり、系外惑星が発見されればされるほど、地球外生命体が実際に存在する可能性もどんどん高くなっていくと考えてもいいわけだ。

 筆者の個人的な興味としては、地球にそっくりな環境よりも、地球とは違う環境下で生命が存在する可能性を追求していくほうが、よりエキサイティングだと思うんだけど、どうだろう?

 問題は、系外惑星はあまりにも遠すぎて、今のところ望遠鏡で観測する以外に調査する方法がないこと。仮に生命が存在していても、なかなか調べようがないのだ。

 もちろん、相手が電波を利用するような高度な文明を持つ知的生命体なら、向こうの電波を拾えちゃうから別なんだけどね(というか、それを期待して電波望遠鏡で受信した電波を解析しているSETI(地球外知的生命体探査)なんていう計画もある)。

 ともあれ、前回も書いたけど、系外惑星探査はここ数年まさに日進月歩、次々に新たな発見のニュースがあって、目が離せないことだけは確か。次はどんな(へんてこな)惑星が発見されるのか。考えただけでもわくわくするではないか。

 とか書いてたら、尊敬する先輩ライターの鹿野司さんが、すでにグリーゼ581Cの姿について、すごくおもしろい考察を書いていたのを発見したので、興味のある方はせひともこちらも併読していただきたい。

鹿野司さんのブログ『くねくね科学探検日記』


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堺三保氏のプロフィール

作家/脚本家/翻訳家/批評家。

1963年、大阪生。関西大学大学院工学研究科電子工学専攻博士課程前期修了(工学修士)。NTTデータ通信に勤務中の1990年頃より執筆活動を始め、94年に文筆専業となる。得意なフィールドはSF、ミステリ等。アメリカのテレビドラマとコミックスについては特に詳しい。SF設定及びシナリオライターとして参加したテレビアニメ作品多数。仕事一覧はURLを参照されたし。2007年1月より、USCこと南カリフォルニア大学大学院映画学部のfilm productionコースに留学中。目標は日米両国で仕事ができる映像演出家。

ウェブサイトはhttp://www.kt.rim.or.jp/~m_sakai/、ブログは堺三保の「人生は四十一から」


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