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SNSは「暇つぶしの道具」を脱するか?

» 2008年03月18日 16時30分 公開
[Eric Lundquist,eWEEK]
eWEEK

 世の中には、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)があり、そして現実の社会がある。この両者が出会う場所こそ、次なる新興ITビジネスのチャンスだ。

 米FacebookやMySpaceといったSNSの問題は2つの要素からなる。1つは、SNSは売り上げを広告だけに依存しており、またネットワークの規模が拡大するにつれ、スパマーなどの攻撃者や変わり者が次々に押し寄せ、ネットワークの魅力が薄れてしまうという点だ。TechCrunchに最近投稿された「Facebook Fatigue?」というタイトルのエントリーで指摘されている通り、「Facebookは会員の保護者が口を挟み、自分の子供たちのすることに干渉し始めた時点で、その魅力を失い始めた」。

 2つ目の問題は経済に関係している。景気が好調で、誰もが「不動産価格は上がる一方だ」と考えているようなときであれば、SNSユーザーもローンの返済方法に頭を悩ませるより、ネットワークで時間を浪費していたいと思うのが当然だ。

 だが景気は悪化しつつあり、現に最近の失業率データによれば、米国経済は不況に陥っている。わたしが思うに、景気が不安定なときというのは、SNSにとって「時間つぶしの存在」から「お金を節約するための存在」へと変わるためのチャンスではないだろうか。わたしはかねてそう確信していたのだが、その実現には3つの展開が必要だった。

 まず1つには、SNSが構築される必要があった。そして2つ目には、企業や家庭のインフラのうち、それまで接続されていなかったパーツがデジタル化され、家庭のコンピュータインタフェースを介してアクセスできるようになる必要があった。そして3つ目には、消費者や企業幹部が「(SNSに)費やす労力に見合うだけのお金を節約できる」と思えるほど十分な財政的苦境に追い込まれる必要があった。

 1つ目の要件に関しては、既にSNSはたくさん存在している。今のところ、SNS作成ツールの「Ning」は柔軟でスケーラブルなSNSネットワークを構築するための最良の選択肢といえるだろう。Ningでは、サイトの作成者はかなりの部分を自分の裁量で管理できるようになっている。もっとも、たとえNingが気に入らなかったとしても、選択肢となるSNSネットワークは何百、何千と提供されている。

 2つ目の要件に関しては、Microsoftが先ごろドイツの電力会社EnBW Energie Baden-Wurttembergと行った発表に言及したい。今現在、各家庭の電力は各自で消費電力を監視・管理する形になっている。だが消費者が集まってSNSを結成し、自分たちの消費電力を自分たちで監視すれば、より良い条件の取引を電力会社に求められるようになるはずだ。それを消費者に理解してもらうのは、そう難しいことではないだろう。

 また企業が自社のエネルギー利用状況や原材料の使用状況をリアルタイムで把握して監視し、社内のクローズドなSNSネットワークを介してそうした情報を共有すれば、いかに大きなメリットを享受できるかについても、企業の幹部らを納得させるのはそう難しいことではないはずだ。

 SNSにとっては、経済が厳しい局面を迎えつつある今こそ、タイムレコーダーを押して、仕事に取り掛かるべき格好のタイミングと言えそうだ。

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