インタビュー
» 2006年06月29日 00時00分 UPDATE

達人の仕事術:「すべての情報をデジタル化」日本経済新聞社・関口和一さん

約8000枚の名刺、8年分のメモ、10年分の写真のデータをデジタル化――。日本経済新聞社・編集委員兼論説委員の関口さんに仕事術を伺った。

[鷹木創,ITmedia]

 「パソコン革命の旗手たち」(日本経済新聞社刊)などの著作でも有名な、日本経済新聞社の産業部編集委員兼論説委員・関口和一さんに新聞記者の仕事術を伺った。

seki01.jpg 日経新聞社の関口さん
sekib.jpg 2006年12月には関口さんの情報収集法などが分かる「日経文庫 情報探索術」も発売になった

約8000枚の名刺、8年分のメモ、10年分の写真をデジタル化

 紙の書類をほとんどすべてデジタル化するのが関口流仕事術の特徴。愛用のノートPCに名刺や取材メモのデータを保存する。名刺のスキャニングは当たり前で、すでに6000〜8000枚のデータが格納されている。

 取材メモにはA4のコピー用紙を四つ折りにしたものを使う。メモを書いた後は、そのままスキャンし、PDFにして保存する。「1998年からの取材メモをPDFなどの画像ファイルとして保存している」というから驚きだ。A4のコピー用紙を1枚ずつ使うのは、手帳やメモ帳だと1枚1枚をスキャニングするのが面倒だから――というわけだ。

 なお、A4のコピー用紙を四つ折りにするのは野口悠紀雄氏の「超」整理法から学んだ。四つ折りのメモ用紙は普段いわゆる“野口手帳”に挟んでおり、この手帳を下敷きにしてメモを取るのが取材スタイルだ。

seki02.jpgseki07.jpg 愛用の“野口手帳”を下敷きにメモを取るのが取材スタイル(左)。A4コピー用紙は4つ折りに

 もちろん取材先で撮影したデジタルカメラの写真や録音したICレコーダのデータも保存する。さすがに写真などの重めのデータはすべてを保存しているわけではないが、それでも「1996年からの海外出張の写真や、1999年からのICレコーダの録音データを保存している」。

 大量に保存したファイルの管理には「PaperPort」を活用する。PaperPortはニュアンスコミュニケーションズのファイル整理ソフト。保存したファイルの内容をサムネイル表示するのが特徴。ファイルを探し出すソフトとしてはGoogleデスクトップなどの検索ツールもあるが「サムネイル表示するPaperPortの“手に取る感覚”がいい」。長年新聞という紙媒体と向き合ってきたベテラン記者らしい指摘だ。

 こうして歴代の愛用ノートPCはいずれも酷使しており、1〜2年で買い換えることもしばしば。現在の愛機は東芝の「Dynabook SS SX 190」だ。Thinkpadを使っていたこともあったが、「軽さとバッテリーの持ち」からDynabookを使うようになった。

seki03.jpg PaperPortで保存したデータを管理
seki04.jpg 愛機は東芝の20周年モデル「Dynabook SS SX 190
seki05.jpg 携帯電話などの“7つ道具”を見せてもらった

用途別にWebメールを活用

 日々のコミュニケーションはメールが中心。1日60通ほどの返事を書くという関口さんは、電車の待ち時間でも愛用のPHS「WX300K」や「W-ZERO3」などでメールを書くという。急ぎの用事にはサブジェクトの冒頭に【急用】などとする工夫も常套手段だ。

 外出も頻繁なため、「AOL」や「Jmail」「Gmail」などのWebメールを活用する。いずれも会社のメールを転送したりしているが基本的にはAOLがメイン。Jmailは不在通知の自動返信用に、Gmailは大容量を活かして非常時のバックアップ用に利用している。

スケジュール管理は試行錯誤

 一方、スケジュール管理には今も試行錯誤。最近では携帯電話からWeb上のスケジュールサービスにアクセスする方法を試していたが、「電話に出ちゃうとスケジュールが確認できない」という重大な欠点に気づいた。電波が届かないところで使えないことも大きなマイナスだ。結局、アポイントを取るだけなら手帳がもっとも都合がいいことがわかった。

 ただし、スケジュールを管理する意味はほかにもあるという。取材先などのアポイントを押さえることのほか、同僚とのコラボレーション、これまでの経験の蓄積といった情報共有の側面があるのだ。こうした観点からみるとスタンドアローンの手帳では心もとない。関口さんといえども、今後も試行錯誤が続くだろう。

 また、ブログやSNSなどのCGMはあまり積極的に活用してない。「ブログは会社で禁じられている。個人が趣味のサイトを運営するならかまわないんだけど、そういう趣味もないので」と笑う。SNSもOrkut、mixi、GREEといった有名どころのアカウントはもっているものの積極的に活動していない。「紙面に書く原稿だけで手いっぱいなんだよね」

妄想スルコト莫レ

seki06.jpg

 1959年生まれの関口さんは、1982年に一橋大学法学部を卒業し、日経新聞社に入社。1988年にはフルブライト客員研究員として米ハーバード大学国際問題研究所に留学し、知的所有権の問題などを研究した。

 時は折りしも、マイクロソフトとアップルコンピュータがWindowsの知的財産権をめぐり紛争中だったという。その後、90年から94年までワシントン特派員をして、情報スーパーハイウェイ構想の取材などをした。帰国し1996年から編集委員を務める。現在は産業部編集委員兼論説委員として情報通信分野などを担当している。

 関口さんの仕事に対する姿勢は実践主義だ。あらゆるツールを試し、自分の仕事スタイルを作り上げてきた。座右の銘は「莫妄想(妄想スルコト莫レ)」。大学生のころからのモットーだが、妄想を排しプラグマティズムを心がけてきた。

 今もトイレに地図を貼って、経路などを頭に入れるイメージトレーニングをしている。取材先を効率よく回れるように確認するためだ。とはいえデジタルマップもよく使う。「駅すぱあとよりも早く回ることが目標だ」。デジタルマップに勝つ――半ば冗談のような“目標”を笑いながら話してくれたのが印象的だった。

プロフィール
氏名 関口和一(せきぐち・わいち)
PC 東芝 Dynabook SS SX 190
携帯電話/PDA(データ通信カードを含む) ウィルコム(WX300K、W-ZERO3、データ通信カード)、au(GLOBAL PASSPORT対応 A5514SA)"
デジタルカメラ Canon IXY DIGITAL 50
ブラウザ mozilla suite
収集ツール(RSSリーダーなど) 日経テレコン21
メールクライアント mozilla suite
インスタントメッセンジャー Skype
ファイル整理ツール(デスクトップ検索を含む) PaperPort
検索サイト Google、Yahoo! JAPAN
Webメール AOL、Jmail、Gmail、その他多数
ブログ 会社で禁止
SNS mixi、GREE、Orkut、LinkedIn
ソーシャルブックマーキング 以前はBlink.comを使っていた
Wiki Wikipediaで新語の意味や用法をチェック
影響を受けた人/本/Webサイト デール・カーネギー、アラン・ラーキン
座右の銘 莫妄想(妄想スルコト莫レ)
手帳/ノート 野口手帳(「超」整理手帳)、四つ折りのA4コピー用紙
ペン 会社で支給されたもの
その他小物(ICレコーダ、ポストイットなど) オリンパスのICレコーダー「V-40」、芯取り替え型のペン(赤線を引くのに使う)

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