コラム
» 2006年08月14日 00時35分 UPDATE

アイデアを生み出すための26の方法(3):身体を動かしてアイデア発想

アイデアを生み出すための方法の最終回は、身体を使った方法を中心に紹介する。無心になる、全く関係ない本を読むなど、意外な方法もあるので、ぜひチェックしてほしい。

[平本相武(構成:房野麻子),ITmedia]

18 体を動かす(姿勢、運動、発声、呼吸)

今回紹介する手法
1紙に書き出す
2図で表す
3絵を描く
4ジオグラフィ
5人に話す
6インプロシンキング
7たとえを使う
8イメージする
9タイトルをつける
10象徴するものを見出す
11魔法の杖
12誰か宛てにメールを書く
13問いかけを変える
14場所/位置/席を替わる(時間軸/空間軸を変える)
15誰かを想定して質疑応答をする/誰かになりきって答える
16自分の中の違うパートに対話させる
17ディズニーストラテジー
18体を動かす(姿勢、運動、発声、呼吸)
19歩く
20初めての場所に行く/違う世界の人に会う
21無心になる
22忘れる/いったん諦める
23無関係の本からヒントを得る
24結果の明瞭化
25終了のイメージ
26過去の成功体験を思い出す

 単に、一回大きく伸びをしたり、立ち上がって歩き回ったりするだけで、煮詰まっていた気分が少し変わります。タバコを吸う人だと、タバコを吸いたいからというより、気分を変えたい、そのために吸う、という時はありませんか? 実は歩き回ったり、場所を変えるだけでもいいのかもしれません。またタバコを吸わない人は、つい一箇所にじっとしたまま仕事をしがちになる傾向がありますが、たまには、場所を変えたり歩き回ったりしてみてください。

 また、「くーっ」と声を出しながら伸びをするのもいいですよ。ただ、これは1つの提案ですので、ヤダなと思われる人は無理にやらないでくださいね。声を出すほうがいい人は、やってみてください。深呼吸もいいです。

 煮詰まっている人は、姿勢が固まっていることが多いです。思い出したときに、ちょっと体を動かしてみてください。

19 歩く

 歩きながら考えるシーンは、映画でもよくあります。あれは設定で作られていますけれど、外で歩きながら話すというのは、案外、馬鹿にできない。オフィスでずっと話し合っていても良いアイデアが出なかったのに、「今日は無理だから帰ろうか」と上司と会社を出て、飲み屋に向かって歩いている途中でアイデアが出てきた、なんて経験はありませんか? 歩くことで使われる脳があり、そこが活性化されるわけです。

 また、立って会議をすると、時間が約3分の2に短縮されるという研究もあります。ときには会議も立ってやってみてはいかがでしょう。

20 初めての場所に行く/違う世界の人に会う

 初めての場所に行く、いつもと違う人に会う、違う世界に行く、ということを、意識的にしてみましょう。「パーティなんて行かない」ではなくて、行ってみる。いつもは合コンに行かないけれど、行ってみる。秋葉原ばかりではなく、わざと西麻布に行く。いつもは行かないお店に行く。そうすると、すぐというわけにはいかないですけれど、発想は変わります。

 同じようなこととして、1つ手前の駅で降りて、そこから歩く。バスに乗るところを歩く。違う道を通る、などもいいです。また、休みの日に時間があるようでしたら、気分で電車の路線を選んで、景色を見ながら「ここ、いいな」と思った駅で降りてみる。降りる理由は「自然が多くていいな」だろうと「面白そうなショップが多そうだな」だろうと、何でもかまいません。初めての場所に行くことで発見があり、創造性が発揮されます。

21 無心になる

 無心になることは、創造性を高める方法として、ドクター・中松さんもやられているそうです。日常で無心になるのは難しいかもしれませんが、水泳やジョギングなど体を動かすことでも無心になれます。また最近では、瞑想/メディテーションが、少しずつ普及してきているようです。アロマを炊いて静かにする、というようなことでもいいでしょう。

 要するに、一回、真っ白になる状態がほしい、ということです。アイデアが湧かないからこそ、無心になる状態も必要です。

22 忘れる/いったん諦める

 21 無心になると似ていて、でもちょっと違うのが、「忘れる/いったん諦める」です。煮詰まってきたら、一回、そのアイデアや案件自体を捨ててしまいましょう。本当に必要だったら、またアイデアが出てきます。

23 無関係の本からヒントを得る

 アイデアが欲しいと思っているときに、何も考えずに無関係な本を手に取って適当なページを開くと、その文章中にヒントが見つかることがあります。実際にやってみましょう。

平本 ヒントを得たいものがありますか?

房野 雑誌はこれから辛い状況になると言われていますので、それを乗り越える方法が知りたい、と思っています。

平本 「紙媒体が残っていくには、どうしたらいいか知りたい」と本気で思ってください。それでは、これらの本の中からタイトルを見ないで、1冊、手に取ってください。本を開く前に、「答えがどうしても欲しい!」と本気で思ってくださいね。では、中身を見ずに、パッと開いて、そのページを読んでみてください。

房野 フムフム……「甘えを絶ち、自ら前に」……「危機感をバネにがんばる」……なんだか、ものすごくぴったりな言葉が並んでいます。バッチリはまりすぎて、気持ちが悪い感じです(笑)

平本 では、別の本でもやってみましょうか。マヤ文明の歴史の本ですね。

房野 ……「恵まれた環境にある……」……「激減は起こりうるのだ」……今の雑誌の状況を表しているのだろうか、と思わせる内容です。…「長老たちに権力が集中……」、出版社には不必要な役員が多すぎるのかもしれない……というように読めてしまいます。

平本 面白いですよね。どんな本を開いても、何かしら当てはまるフレーズがあるんですよ。


 実は、本の中の文章は、どうとでも受け取れることなのです。でも、だからこそ、自分の意識にまで上がってきていないアイデアが、本の文章の中にメタファーとして見えやすくなる可能性があるのです。

24 結果の明瞭化

 目的や目標を、先に明確化しましょう。みんなで話し合うときに、もう一度、「これって○○を売ることが目的? それとも、ウチの部の売り上げを上げるのが目的?」のように、目的を確認します。売り上げを上げるだけだったら、「○○にこだわらず、他のことを考えよう」となるかもしれません。何のためにアイデアを出すのか、出したらどうなるのか、もう一度、最初に立ち戻ることが必要なときもあります。

 目的や目標ばかり気にしていると閉塞的になるので注意してもらいたいのですが、話が広がり過ぎたときやアイデアが出なくなったときに、原点に戻ると発見があるかもしれません。

25 終了のイメージ

 例えば、自分が企画した製品が世に出て、うまく売れている場面を想像してください。どんな風に売れているでしょうか。

 このように、終了/完了のイメージから発想してみましょう。終了のイメージから発想して、そこに向けて、今すぐできそうなものは何かを考えるのです。

 この方法は、インプロシンキングのような、とにかく闇雲にアイデアを出していくパターンとは正反対で、トップダウン式の方法です。

 また14 場所/位置/席を替わる(時間軸/空間軸を変える)と似た形ですが、長い年月で見てもいいのです。例えば、「ネットを活用したビジネスモデル」のアイデアを考えると設定して、「今から50年後の状況はどうなっているだろう」と想像してみましょう。科学的な根拠はなくてかまいません。

  • A パソコンというものは、なくなっているかもしれない、と思う。もっと公共的で、駅の切符売り機のように、何かを押したら、ぱっと結果が出てくる、というような感じ。情報端末のものすごく高機能なものが街にあって、誰でも、お金を払わなくても使える。
  • B おとぎばなしで、みんなが魔法使いのような感じ。
  • C 街を歩いていて、迷ったら情報端末を使って、「○○さんの家を探しているんですけど」と言うと、ぱっと映像が出てくる。「おみやげは何がいいだろう」と聞くと、「フルーツがいい」と出てきたりする。本人が公開OKという情報だけが公開されていて、「それは無回答」というものもある。
  • D その頃になると、音や頭の中で考えていることで検索できるようになっている。入力もできるけれど、音声や脳波で認識してくれる。

 このように、目先のことを考えるのではなく、もっとずっと先をイメージすると、アイデアのヒントを得ることができます。

26 過去の成功体験を思い出す

平本 過去に、アイデアがたくさん出てきたときのことを思い出してみましょう。ありますか?

房野 実はあまりないんですが……。

平本 じゃあ、たくさんではないけれど、いいアイデアが出たときはありますよね。どんな状況でしたか?

房野 まだ編集をやっていたとき、雑誌の記事でうまくいったことがありました。ライターさんとカメラマンさんと一緒にロケをして、天気が良くて、とても楽しく、朝から晩までうまくいった、という感じでした。記事も非常にうまくできあがって、仲間にも褒められた。その1コーナーだけでしたけれど……ただ、あれは楽しくてよかったな、と思い出せます。

平本 もし今回の記事が、その時のように書けたとしたら、どうですか? 

房野 なにかしら、楽しさを入れようと考えると思います。「ここで笑わせて、オチはこれ」というように。

平本 オチは欲しいですね(笑)。「じゃあ、その通り書こう」とはなりませんが、過去のうまくいったとき、良かったときを思い出すことも、ひとつのクリエイティブな発想です。この質問をしなかったら、“笑い”を入れるとか、オチをつけるとか、考えなかったかもしれませんよね。


 このように、いいアイデアが出てきたときや、頭がすっきりしていたときを思い出してみてください。具体的に、いつ、どこで、どんな場面だったかを思い出してみましょう。そのときの目に見える風景や、耳に聞こえる音や声、肌に感じる感触を思い出してください。

 そのときの気持ちや意識の状態を思い出しながら、今の課題に取り掛かれるとしたら、どう取り掛かるでしょうか。きっと、楽しくてポジティブ気持ち、視野が広くなっていて、新しいものを受け入れるオープンな状態になっているはずです。同時に、これまで紹介してきた26の方法も、うまく活かせる状態になっていると思います。

 ただ、これを全部やっていたら大変です。自分に合うものを、選んでやってみてください。ダメだったら、次を試してみる。そして、たまには、「これは合わないだろうなあ」と思うものを、意識的に試してみてください。

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ピークパフォーマンス 代表取締役

平本相武(ひらもと あきお)

 1965年神戸生まれ。東京大学大学院教育学研究科修士課程修了(専門は臨床心理)。アドラースクール・オブ・プロフェッショナルサイコロジー(シカゴ/米国)カウンセリング心理学修士課程修了。人の中に眠っている潜在能力を短時間で最大限に引き出す独自の方法論を平本メソッドとして体系化。人生を大きく変えるインパクトを持つとして、アスリート、アーチスト、エグゼクティブ、ビジネスパーソン、学生など幅広い層から圧倒的な支持を集めている。最新著書は「成功するのに目標はいらない!」。コミュニケーションやピークパフォーマンスに関するセミナーはこちらから。


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