席にいなくたって仕事はできる!?――Biz.ID・斎藤健二編集長達人の仕事術(2/2 ページ)

» 2007年02月23日 23時11分 公開
[鷹木創,ITmedia]
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入社以来、メモに使ったノートは65冊

 モバイル機器にこだわりのある斎藤編集長が愛用するケータイはauの「W41CA」。待ち受けFlashのペンギンが好きなのだ(2006年3月の記事参照)。「カシオはA3015あたりからUIの完成度が高まりました。実はあんまり機能には惹かれません。美しいUIが好きなんです」

 デジタルガジェットだけではなく、ノートにもこだわりがある。ソフトバンク入社以来、こまめにメモを残してきたコクヨのB6ノートは65冊を数える(2004年1月の記事参照)。数カ月に1冊の割合で“消化”する計算だ。「時系列に書いているので、大体このあたりに何を書いていたということは分かります。プライベートも仕事も区別しません」。膨大な量なので最近は、大事なことだけはモールスキンのノートに書くようにした。ただちょっと迷ってもいる。というのも、これではノートに書いた“データ”をバラバラに保管することになってしまうからだ。

 「ホントはノートPCで一括管理したいんですが、電池の持ち時間や本体の大きさで断念しました。ノートPCでは、旅行や友人・知人の家に持っていけません」。データのアクセシビリティを大事にしたい斎藤編集長の悩みどころなのだ。

 たくさんもらうという意味では名刺の管理も特徴的。名刺をもらったら仕事に関係のありそうな方にはお礼のメールを出し、打ち合わせしそうな方の場合は名刺入れに入れておく。年度を通してお世話になった方は年賀状印刷ソフトのアドレス帳にも登録しておくのだ。名付けて、名刺管理の「3段活用」――といえるかもしれない。

入社以来、書き込んだノートは65冊。最初の1冊は何度も読み直すうちにすっかり痛んでしまった
7つ道具

欲しい本はすぐ買え、つまらなかったら売り払え

 社内でも有数の読書家。本の読み方にも工夫がある。「自前の本は、後で参照したいページの右上を折ります。マーカーか赤ペンがあれば、その場所に線を引きます。さらに付箋を持っていれば、そのページに付箋を貼ります。借りた本の場合は、付箋だけを貼ります。その後、モールスキンに気に入ったフレーズなどを転記します」

 こうして1日1冊を目標に本を読むという。もちろん、そんなに時間はない。行き帰りの電車や休憩時間などを利用し、「200ページの新書だったら1日で読み終えます」。大量に読むことで、同じことが書いてあったりすると重要なことだと分かるのである。

 読み終えてからの本の管理が変わっている。「表紙を携帯で撮影して、何月何日に読み終わったかを後から参照できるようにします。また、図書館で借りた本であることも表紙の写真を見れば分かります」。極めつけは、読んだ本の一覧は「Picasa」を使ってスクリーンセーバーにすること。PC上でスクリーンセーバーを見るたびに過去読んだ本を定期的に思い出せるし、間違って同じ本を買わずにすむ――というわけだ。

 写真を撮ったらようやくひと区切り。二度と読まないと思った本は書棚に保管せずに、Amazonで売り払って終了だ。「とにかく買います。買えば読みますし。自分で自分に対して“本を買う”というイベントを起こしてあげるのが重要です」。最近は、売買するのが面倒になってきたので図書館も利用する。いずれにせよ、本は絶版になると入手が難しい。欲しい本があればすぐ買え――これが斎藤流読書術の真髄なのである。

机の上に山積みになった本。「いい加減倒れそう」(隣席のT記者談)
Picasaによるスクリーンセーバー

 読書家で、記事も書く。インプットもアウトプットもお手の物だが、ブログもSNSにも消極的。「何かのイベントが発生するのに対応する、いわば“イベントドリブン”な生活になっています。ブログやSNSはイベントドリブンではなく、こちらから積極的に動かなければならないから、ちょっと手が出ないのかもしれませんね」と笑った。


 「新しい分野が好き」だという。2006年6月からは書きなれたITmedia Mobileを離れて、仕事術を紹介する「ITmedia Biz.ID」を立ち上げた。「新しいことをやれれば僕は満足です。同じ日常だと経験豊かな人のほうが有利になってしまいます。今は、むしろ経験が邪魔になってしまう。エキサイティングな世の中ですよね」

 自らを「おしゃべり」だという。周りのスタッフからは「独り言がうるさい」などと文句を言われることもあるが、人に話すことで自分の考えを整理してきた。「1人でうんうん言っていてもダメなんです」。おしゃべりしながら周りを巻き込み、新しいことにチャレンジする。斎藤編集長は、そしてBiz.IDは、これからどのような成長を見せるのだろうか。

プロフィール
お名前 斎藤健二(さいとう・けんじ)
プロフィール ソフトバンクの社内公募を経て、ZDNet Japan(現ITmedia)に入社。その後、ケータイ専門チャンネル「ZDNet Mobile」(現ITmedia Mobile)を立ち上げる。現在は国内初のLifeHack系サイト「ITmedia Biz.ID」の編集長を務める。
PC ThinkPad X40(会社支給品)
携帯電話/PDA(データ通信カードを含む) W41CA(初代ペンギンケータイ)
デジタルカメラ DMC-LX2
ブラウザ Firefox 2.0
収集ツール(RSSリーダーなど) Googleリーダー
メールクライアント Thnuderbird
インスタントメッセンジャー Skype
よく使うショートカットキー [Ctrl]+[V]/[C]/[X]/[J]/[A]/[P]、[Alt]+[Q]/[Space]
ファイル整理ツール(デスクトップ検索を含む) GoogleDesktop、Picasa
バックアップツール RealSync
検索サイト Google
Webメール Gmail
ブログ
SNS
ソーシャルブックマーキング はてなブックマーク、Del.isio.us
Wiki livedoor Wiki
影響を受けた人/本/Webサイト 「天才数学者はこう賭ける」。シャノンの情報定理と、賭け事との関係に脱帽。95%の勝率のギャンブルがあった場合、手持ちの金のいくらを賭けるのが合理的か? この質問の答えが分からない方にお勧め。

Wikipediaは素晴らしいサイト。Google CalendarまでのGoogleサービスも、未来を感じさせるものでした。
座右の銘 「勇気とプライド」。村上龍の「5分後の世界」に出てくる「われわれの勇気とプライドを示し続けること、それが次の時代を生きるみなさんの役目です」より。やったほうがいいと思っていても現状維持のほうがみんな楽。それでもチャレンジすること。怖れや不安から逃げないこと。それが勇気。プライドは誇りといったほうがいいかもしれません。自分自身の倫理観に照らして、この行動は誇れるか? それがプライドです。
手帳/ノート モールスキン、コクヨ4号(B6)
ペン ゲル系のなめらかに書けるペンならなんでも
その他小物(ICレコーダ、ポストイットなど) 三洋のICレコーダー「ICR-B80RM」(最近壊れた……)

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