第2回 江戸の都を自転車で──「市中引き廻し」ルートを疾走するオンラインのみで人は生きられるか(1/3 ページ)

先日の東京マラソンではないが、東京は改めて回ってみると新たな発見が多い街だ。Yahoo!で公開している江戸の古地図を元に、自転車で都内30キロメートルを回ってみた。

» 2007年03月05日 12時01分 公開
[杉村啓,ITmedia]

 先日、テレビを見ていたら『タモリ倶楽部』という番組で「市中引き廻しルートを歩く」という特集をやっていた。そう、時代劇なんかでよくある「市中引き廻しの上、磔獄門の刑に処す!」の「市中引き廻し」を実際に歩くのだ。番組では現在Yahoo!で公開している古地図を元に、当時のルートを歩いていた。これ、僕もやってみたい!

 実は僕は自転車が趣味で、しょっちゅうフラフラと自転車で散歩(ポタリング)をしている。この市中引き廻しも、4年前に自転車で体験済みだったりして。でも、当時は正確なルートが分からなかったので、いくつかのチェックポイントを設けてそこを訪ねる形にした。市中引き廻しは見せしめのための刑罰だから、その罪人に関係が深いところの近くを通るようにルートを変えたりと、決まったルートがないからだ。

 ただ、今回は古地図に描かれているルートをたどって行くことにした。歩いて行ってもよかったけど、ここはやっぱり自転車で。途中途中で道を確認できるように、自転車で持ち運べる携帯端末「W-ZERO3es」を持ち、準備は万端。出発だ。

13:13 小伝馬町

 スタート地点は小伝馬町の牢屋敷跡。現在は十思公園という公園になっている。「牢屋敷跡の由来」とか、「吉田松陰先生終焉の地」とか書かれた説明をきちんと読んで、気分を盛り上げる。市中引き廻しされるっていうのに気分が盛り上がるのは変だけど。


 スタートして、タモリさん達も歩いたルートを通ろうとして気づいた。一方通行を逆走しまくりだ。三井住友銀行のところから路地に入るけれども、そこに至るまで全部一方通行を逆走になる。徒歩だったらスムーズに行けるけど、自転車の僕は自転車を押したりちょっと遠回りをしたりして、いきなり大変な目に合った。現在の道路行政は市中引き廻し自転車旅には優しくないらしい。

 そして走ったり押して歩いたりすること20分、江戸橋に到着。江戸橋を超えたところにある、歩行者&自転車用のトンネルも発見。うーん、確かに東京のど真ん中にあるとは思えない雰囲気を持っている。


 ちなみにここで写真を撮っていたら、買い物帰りと思しき自転車に乗ったおばちゃんに「おにいちゃん、ここって自転車通れるの?」と聞かれてしまった。「自転車の方はおりて通行して下さい」と大きく書かれているのに、そう聞かれちゃうぐらいの雰囲気だったのだ。さすがは市中引き廻しルートだ。

 八丁堀に入った後、現在の浅草線・宝町駅があるあたりで、困った事に出くわした。ここで昭和通りを横切らなくちゃならないのに、信号がないのだ。信号どころかセンターラインに柵があって容易には横断できないようになっている。やっぱり現代の道路行政は市中引き廻し自転車旅には優しくない。


 仕方なく、近くの交差点へ行き、若干回り道をすることにした。ここでの信号待ちの時に、今度は自転車に乗ったおじちゃんが「にいちゃん、その自転車高そうだねぇ。いくらぐらいするの?」と聞いてきた。道路行政とは違って、東京の人は自転車旅に優しいようだ。信号待ちの間に雑談して、再び市中引き廻しルートへ。

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