杏奈のパソコン選び――お父さんの“Second Life”用パソコンを探すの巻Special(1/2 ページ)

デザイン事務所の営業として今日もノートパソコン「Endeavor NA102」を小脇に抱えて外回りに精を出す小島杏奈。元気が取柄の杏奈だが、最近は退職した父が心配でちょっと気を落としている――。

» 2007年03月09日 20時47分 公開
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 「お、こんな時間か! いかんいかん遅刻する」。ベッドから起きた小島康夫は「おーい、お母さん、ネクタイは……」と言ったところで、ハッと気付いた。「そうか、俺はもう会社に行かなくていいんだっけ」。この3月で会社を定年退職する康夫は、すでに残務処理も終わり、長年たまりにたまった有給休暇の消化に入っていた。

 「なんですか、お父さん。もう早起きしなくてもいいのに、いつも通りに起きちゃって」と笑うのは、サラリーマン生活を陰に日向に支えてくれた妻の真紀子である。

杏奈

 康夫は新卒で入社して以来、会社ひと筋で勤め上げた。新興住宅街の一角に自宅を持ち、5年前にはローンも払い終えている。唯一の心配だったのは、娘の杏奈である。その杏奈が会社を辞めたのには軽くショックを受けたが、その後は、仲間内で設立したデザイン事務所が軌道に乗りつつあるようだ(2月23日の記事参照)。リタイア後は、何もかも忘れてノンビリしたい――そう思う康夫だった。

 ところが、有給消化に入って1週間。康夫は手持ち無沙汰で家中をうろうろと動き回っては、掃除や洗濯に忙しい真紀子に「お父さん、そこどいて」などと言われるのである。自宅に居ても何だか居心地の悪い気持ちになるのだった。そもそも、康夫と真紀子はこれほど長い時間一緒に顔を突き合わせて生活をしたことがない。長年連れ添った夫婦でありながら、どう接したらいいものか。康夫の退職前には思いもよらなかった不自然な空気が、夫婦の間に漂っているのである。

 そんな中、「ただいまー」と杏奈が帰ってきた。夕飯に間に合うタイミングで帰れたのは久々。杏奈としては「父と母の間がなんとなくぎこちない」ことを気に病んで早めに帰ってきたのである。「おお、帰ったか」と康夫。愛娘が帰ってくれば自然と目じりが下がるというものだ。「お帰り。今日は早いわね」「うん、お父さんもいるしねー」などと、ありふれた会話が続く。

 真紀子が腕によりをかけて作ったホワイトシチューをハフハフいいながら食べる杏奈。そんな様子を眺めながら康夫はビールを飲む。いわゆる1つの一家団欒である。そんな時、「お父さん」と切り出したのは杏奈だ。

Second Lifeなら知ってるよ

 「お父さんさぁ、退職してからヒマそうだよね」とズバリ。「そんなことないよ、な、なあ、母さん」。本心を言い当てられ、焦りつつ真紀子に援軍を求める康夫だが、「あら、何か趣味でも持ったほうが、老後も充実するはずですよ」と、逆に真紀子から言われる始末。しばし沈黙の後、「俺のセカンドライフかぁ」とため息をつく康夫であった。

 ちょっと気まずくなった瞬間、「あ、Second Lifeなら知ってるよ」と杏奈が元気に答える。デザイン事務所仲間の誠一がハマっている「Second Life」を思い出したのだ。そういえば、日ごろチェックしているIT系ニュースサイトでも特集が組まれていた。誠一も「Second Lifeは無料だから始めるのは簡単だよ」と言っていた。自宅でヒマを持て余しているお父さんにやらせるのもいいかも、と思ったのだ。

 先日自宅のノートパソコンを壊してしまったこと(2月23日の記事参照)などを忘れたかのように、杏奈は自分の新しいパソコンで、このマシンを選んだエプソンダイレクトにアクセスした。「Second Lifeをやるなら、新しくて高性能なパソコン買わなくっちゃいけないって書いてあるよ(3月7日の記事参照)。私が選んであげるね、お父さん」

エプソンダイレクト

 すでに、何度かアクセスして手馴れた手つきで注文を進める杏奈。何やら誠一とチャットをしながらスペックを決めているようだ。「自宅で使うとしても、いつも書斎で使うとは限らないだろう。だったらノートパソコンがいいんじゃないか」と誠一。杏奈は「でもSecond Lifeをやりたいって言ってるから」と、勝手に康夫がSecond Lifeをやりたいことにしてしまった。「すごいなお前のお父さん。よくSecond Lifeなんて知ってるな」「うん、Second Lifeを充実したパソコンでやりたいんだって」。重大な勘違いに気付かないまま、こうしてスペックは決まっていったのである。

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