ビジネスパーソンがブログを書くなら、実名?それとも匿名?読者から見たBiz.ID

自分のブログをもっと充実させて、アクセスを増やすにはどんな方法があるのでしょうか。また、米国と比べて日本では匿名のブログが多いと言われます。ビジネスパーソンがブログを書く場合に、実名を名乗った方がいいのか、匿名がいいのかについても悩みどころです。

» 2007年03月29日 00時28分 公開
[吉田有子,ITmedia]

 現在の日本で「ブログを書くことで食べている」人はどのくらいいるのでしょうか? 大多数の人は、本業を持ちながらブログを書いているのだと思います。アフィリエイトなどから収入を得られるとしても、それで生活できるレベルではない人が多いでしょう。

 自分のブログをもっと充実させて、アクセスも増やしたい。そうすればアフィリエイト収入もついてくる。とはいえ、ビジネスパーソンとして本業を優先するためには、書くことに注げる時間とエネルギーには限りがあります。そのほか、会社で知った物事をどこまで書いていいのか、ブログには実名を出すべきかどうか。実名を出した場合、上司や取引先に読まれたらどうしよう――ブログと仕事については考えるべきポイントがたくさんありそうです。

「ブログメディア研究会」で読まれるためのブログ添削を体験

 読まれるためのタイトルや文章には、どういった工夫が必要なのでしょうか。去る3月16日に、Biz.ID編集部は第2回「ブログメディア研究会」を開きました。(3月16日の記事3月19日の記事参照)。この研究会では、全員がブログ記事を持ち寄り、お互いに赤ペンでほかの人の記事を添削しました。

 参加ブロガーのひとり、「F.Ko-Jiの『一秒後は未来』」を運営するF.Ko-Jiさんは、自分の文章を他人に添削してもらうのは学生時代の論文以来とのこと。書評を書くときは、ブロガーの言葉で感想を書くよりも書籍の引用の方がブログ読者へのアピールが強いことをイベントで学んだそうです。書評を書くとき、読者がどんな本についての書評なのか分かるようにするのは大事ですが、全部引用になってしまうと著作権の面でも問題があるので、自分の意見とのバランスが必要ですね。

 別の参加ブロガー「創造マラソン」のAterさんは、タイトル付けの工夫について書いています。「自分では少しウザすぎると思うくらいのレベルでも、実際はキャッチーなものになる」というアドバイスが参考になったそうです。

実名ブログが広まれば“本名”の意味が変わる?

 ブログを運営するなら、最初に本名を名乗るか、それともハンドルネームにするかを決める必要があります。

 3月23日に開催されたシンポジウム「参加型メディアの可能性」ではアルファブロガーたちがネットの匿名性などについて議論していました。このイベントの記事「ビジネスパーソンがブログを書くときに気をつけたい4つの問題」には、考えさせられるトラックバックが多数つきました。

 イベントでは、ブログを書くとき実名を名乗る場合と匿名でいる場合、両方のメリットとデメリットについても議論が及びました。実名でブログを書いてしまうと、上司や仕事相手に読まれたときに悪い印象を与えるリスクがある。だから匿名にしておこう、と考える人もいます。

 しかし、小林啓倫さんが実名で運営しているブログ「シロクマ日報」の「「匿名」は仕事探しに不利?」では、米国の技術者の場合ですが、ネット上に名前を残していないのは就職で逆に不利になるという記事を紹介しています。

 また、実名でブログを書く場合は、親が子にどんな名前を付けるかによって、検索エンジンでの順位が変わってきます。小林さんは、あまりないお名前なので、「啓倫SEO」によると、検索エンジンで探しやすいそうです。「平凡な名前の人は、検索されやすいような『芸名』ならぬ『ネット名』を考えてビジネスに用いる、というケースも増えてくるかもしれません」という奇抜な未来予想も。

 やはり「自分で自分の名前をつける」ことについてコメントしているのは「404 Blog Not Found」を運営するパネリストの1人、小飼弾さん。小林さんより一歩踏み込んで「一般人でも名、というかIDが著名人なみに重要になってきた時代、両親から幼名をもらっても、元服時に自らの名前を定めるという習慣を復活させてもいいんじゃないかと思う」と、本名の変更をより簡単にすることを提案しています。

 上記の議論は、現在日本では少ないとされている実名ブログが、米国並みに増えることを前提としています。一方で「日本は周りの目を気にして、自分の本名を明らかにして名声を高めることには励まない国民性ではないか」と指摘するのが「坂本多聞のソフトウェア業界インサイドアウト」の「ブログが日本を変える!? タテ社会の反動と変化」です。「米国などではフリーランスが多く、本名でブログを書くことによって自分の評価を上げたい人が多いので、日本とは違う」としています。

 それでも坂本さんは「匿名が中心の日本のブログも、何年もかけて少しずつ社会を変えていくのではないか」とまとめています。いま20歳の人が20年後には40歳になり、そのとき「ブログ」と呼ばれているかどうかはともかく、ネット上に自分の考えを書くことは世代交代とともに一般的になっていくでしょう。そのときにどんな社会になっているでしょうか。

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