第3回のブログメディア研究会では、イー・モバイルをゲストに「インタビュー術」を議論した。インタビューはどう行うべきか、聞いたことをどうまとめるべきなのか――。
今回で第3回のブログメディア研究会。今回のテーマは「インタビュー術」。実際にイー・モバイルの五十嵐尚さん(広報室長)にお越しいただき、同社の端末やサービス、今後の動向などについて説明してもらった。参加ブロガーは4名。インタビューはどう行うべきか、どうインタビューをまとめるべきか、を五十嵐さんへのインタビューを通じて議論した。参加したブロガーのブログは以下のとおり。
ブログ名 | |
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1 | Web2.0時代のマーケティング |
2 | RONO23 |
3 | NGOネットワークジャパン |
4 | 起業家・Webデザイナー・SE→CIOを目指しつつの大学生のアレ |
日常的にインタビューを行っているBiz.IDの記者と、百式管理人が気を付けているインタビューのポイントは何だろう。
まずは事前準備。インタビューでは相手に「よく調べてきているな」と思わせることが大事である。そのために事前準備は必須なのだ。「(相手の名前) インタビュー」などで検索し、過去のインタビュー記事を読み込む。またインタビュー先企業のリリースやニュースサイトでの記事も読んでおくべきだろう。
実際にインタビューをする際はどういう記事を書きたいかを想定しつつ、自分が疑問に思ったところをもれなく聞き出すこと。インタビューで怖いのが「聞き逃し」があること。チャンスは一度きり、という姿勢で臨むべきである。
またインタビューを録音する人もいるが、それは「保険」程度と考えておくこと。そうしないと「録音しているから大丈夫」と安心してしまい、集中力を欠いたり、聞き逃しが発生してしまう。録音を書き起こすことをメインに考えてしまうと、印象の強かった部分が薄まってしまう可能性もあるのだ。
筆者がインタビューをまとめる際に特に重要だと思っていることは、「聞いた順番で書く必要はない」ことと「話した言葉をそのまま書かない」ことである。
インタビューを聞いた順番で書いても一般的には分かりにくくなる。自分が気になった点を強調しつつ、構成を組み替えて文章として読みやすくなる。また「話した言葉をそのまま書く」ことは一見、正確なようだが、文章としてはカジュアルになりすぎたり、書き言葉として意味をなさないことも多い。話の内容はそのままに、読みやすい言葉に変えていく必要がある。
続いて、イー・モバイルの五十嵐さんにプレゼンテーションを行ってもらった。イー・モバイルが目指している市場はどこなのか。どういった将来像を描いているのか。またイー・モバイルの端末にはどういった特徴があるのかなどだ。
「ADSLなどの固定網での通信料は安くなったのに、日本の移動体通信はまだ高くて遅い」「イー・モバイルは技術革新を経て基地局の小型化、省電力化を実現できた」「EM-ONEは現代のビジネス・パーソンのすきま時間を有効活用できるデバイス」など、気になるフレーズが随所に飛び出した。
また「EM-ONE」の実機によるデモも行った。「他のPDAや携帯端末の液晶サイズはVGA(640×480ピクセル)なのに対し、EM-ONEではWVGA(800×480ピクセル)を採用した。結果として最低限の横スクロールでWebサイトを閲覧できる」「ポケットに入るギリギリの厚さがEM-ONEの18.9ミリだった」「ワンセグが大画面でも綺麗に見えるようにシャープにソフトウェアを独自開発してもらった」など、ここでも記事のネタとなるような情報を教えていただいた。
五十嵐さんのプレゼンテーションがひと通り終わったあと、各ブロガーが「自分はどういった質問をしたいのか」を発表。この時点で五十嵐さんに「これらの質問で最も答えてみたい質問」を選んでもらった。インタビュー相手が思わず答えたくなる質問とはどういうものかを知りたかったからである。
ブロガーから出た質問で、五十嵐さんが選んだのは「『指、来たっすね』の次の展開は?」「Skypeは搭載されるのか?」「EM-ONEを体感してもらうためにどんな施策を行っているか」の3つだった。
選んだ理由は「周辺の事実をよく調べてからの質問と推測されるから」「ご自身の経験をもとに質問されているから」というものだった。インタビュー相手が思わず「この人はよく調べているな」「この人はこういう記事を書きたいのだな」と連想させる質問が答えやすい――のかもしれない。
出された質問に五十嵐さんが簡単に回答したあと、それぞれが5分程度で「自分だったらどんなタイトルの記事を書くか」を考えてもらった。以下にそれらのタイトル案を紹介してみよう。
今回はインタビューを通じて記事の組み立て方を学ぶことができた。それぞれがどういう質問をして、どういうまとめ方をするのか、貴重な体験だった。こうしてお互いに議論することで、練られた記事を書くことができるのではないだろうか。企業へのインタビューを題材としたこうした勉強会は次回以降も続けていきたい。
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