第2回 自分はその目標にふさわしい人間?目標を実現するための7つのステップ(2/2 ページ)

» 2007年04月18日 12時51分 公開
[平本相武(構成:房野麻子),ITmedia]
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 例えば、エンジニアの経験はありますか? と聞かれたら、最初は絶対誰でも、経験のない状態から始まりますね。誰でも必ず最初はないはずです。エンジニアの仕事を初めてやるときがあるのです。記者の経験だって最初はありませんね。生まれたときからお金をもらって書いていた、なんてことはない。どこかの地点で初めてやったときがあります。だから、結果が出るまでは自信を持てないとは思わずに、先に自信を持ってほしいのです。

 下の図は、私が開発した「コングルエントの輪」というものです。コングルエントとは、一致しているという意味。現実は、自分の「考えていること」「言っていること」「やっていること」「感じていること」の総和で、4つが重なりあうところにあることは必ず実現する、ということを表現しています。

コングルエントの輪

 例えば、200万円を投資する、ということを頭の中で考えているとします。でも、口では「いや〜、投資なんてまだ早いよ」みたいなことを言っていると、たぶんできません。「今年、投資をやろうと思うんだよ」と言わなきゃいけません。本を書こうと考えていても、勧められて「いや〜、無理ですよ」とか言った時点でアウトですね。では、頭で考えて、「投資しようと思うんだ」「本を書こうと思うんです」と口でも言ったとします。でも、投資活動をしなかったら、調べることもしなかったら、出版社に持ちかけるとか、テーマを考えることもしなかったら、それは言っただけで終わりですね。行動を起こさないと実現しません。最終的に、自分が投資していることに違和感をもたなかったらOKです。ところが「でも、私なんか」と感じてしまったら、ここでアウトです。

 もっとわかりやすく、例えば「フェラーリを買う」という目標。フェラーリが欲しいと考えているだけじゃ、やっぱりダメで、「フェラーリ買おうかな」とか、少なくとも、「フェラーリ見たいな」「欲しいな」というのは口にする必要があります。そして、フェラーリの展示場に行かないとダメですよね。考えて、言っているだけで、「お客さん、このフェラーリどうです?」と持ってきてくれるわけではありませんから。さあ、行動するところまできました。フェラーリのショウルームに行って、このフェラーリに座ってみようかな、と思った。ところがそこに、向こうからお金持ちらしい人がやって来た。そのとき、「あ、いやいや、どうぞどうぞ」と乗るのをゆずってしまうとダメです。なぜなら、これは私のクルマじゃなくて、あの人たちのクルマなんだ、と思ってしまっているから。

 これが、手頃な価格の国産車だったらどうでしょう。乗る順番をゆずったりはしないですよね。「すぐ出ますから、ちょっと待って」となるはずです。つまり、「これは私のクルマだ」というイメージがあるからです。国産車だったら「ちょっと待って、見たらすぐどきますから」だけど、フェラーリだったら、「いえいえ、どうぞどうぞ」みたいな退き方をする。つまり、私にフェラーリはふさわしくないと感じているのです。これではフェラーリは買えません。

 みなさんはどうですか? 投資したいと考えながら、「投資なんか無理」「できない」と言っていませんか? 売り上げ目標5000万円と設定しながら、「できっこないよ」「時間がないよ」みたいに言っていませんか? 自分でそういう発言をしちゃったら、自分で言っていることですから実現しません。ぜひこの4つは気をつけてください。

 そして、気をつけるのにどうすればいいかというと、次の「コングルエントの輪」の実習になります。

平本 まず、自分の目標を書いてください。「2007年8月31日までに200万円を投資する」「2007年12月31日までに本を出版する」と書いてください。それに関して、「考えていること」「言っていること」「やっていること」「感じていること」をそれぞれ、順番は気にせず書いていきます。例えば、考えていることだったら、「無理かな〜」とか「時間ないな〜」とか……。

房野 ネガティブなことでもいいんですね。

平本 ポジティブなことも、ネガティブなことも両方です。例えば「もっと言っちゃてもいいんじゃないかな」とかでもいい。「500万円でもいいかな」とか。あるいは、「まだ勉強だけに費やしたほうがいいんじゃないか」とかネガティブなことを書いてもいいです。

 「言っていること」だったら、例えば奥さんに「投資しようと思うんだよ」と言っているとか。同僚に言っているとか、友達に本を書くといっているとか、です。「やろうと思っているんだけど、無理だよね」と言っているとか。あるいは、何も言っていないんでしたら、そう書いておいてください。

 「やっていること」は、「投資に関してインターネットで調べている」とか、「どういうものがあるかを本屋に寄って調べている」とか「出版社に声をかけている」とか、あるいか「まったく何もやっていない」とかです。

 最後に「感じていること」。先ほどの例のように、自分にふさわしいと思えているかどうかを書いてください。この4つは書く順番は気にせず、思い出すままあちこちに書いていってください。

矛盾なく一致していたら、目標は実現する

 では、書いたものを見てみて、どう思いますか? ピタっと矛盾なく一致していたらその目標は実現するし、矛盾していたら自分で自分の足を引っ張っています。

斎藤 この4つのそれぞれが矛盾しているか、していないか、ということですか?

平本 目標を実現するためにサポーティブになっているか、ということです。考えていることが目標を後押しできる、言っている、行動を起こしている、違和感を持っていない、という感じになっているかどうかです。

斎藤 言っていることは、目標実現とどう関連すると思えばいいんでしょうか。やっぱり言わないといけないんでしょうか。

平本 必ずしもその必要はないです。例えば「成功したらみんなに宣言しよう」というような考えがあるとしたら、言う必要はないですね。要は矛盾がないかどうかです。「言っていること」に関しては、ネガティブなことを言っていなかったらOKです。反対に「投資はリスク多いよね」とか「うまくやっている奴、いるけどさ、本当にあいつら大丈夫かな」みたいなことを言ってしまっていたらアウトですね。

房野 なんだか全体的にネガティブなことばかり。そもそも何も言っていません。

平本 斎藤さんはあまり矛盾がないですね?

斎藤 でも、やっていることと考えていることは、だいぶ矛盾というか、ギャップがあります。特に宣言しているわけでもないし……。ただ、ネガティブなことは言っていません。

平本 じゃあ、いいです。「言っていること」に関しては、ネガティブなこと、目標を否定するようなことを言っていなければOKです。

 確かに宣言した方がベターな人は多いです。いろんな人に話していると、聞いたその人たちが「あれ、どうなった?」と言ってくれるんですね。だから意志が弱い人ほど言った方がいいです。いい意味でプレッシャーがかかるので。ただ、特殊な事情があるとか、みんなをびっくりさせたいというのであれば言わないほうがいいですね。

 ちなみに、この4つがちゃんと目標をサポートしている度合いは、感覚的に合計で何%くらいですか? けっこう、高いですか?

斎藤 考えていることは多いんですが、やっていることが少ないので、70%くらいかと。言っていることは特にポジティブでもネガティブでもないかもしれません。ほかは大丈夫です。

平本 じゃあ、あとは行動だけ起こせばいい感じですね。

房野 私は絶対無理です。目標設定に無理があるような気がしてきました。テーマがない、というのが一番のネックで……。

平本 今、「テーマがないから書けない」と言いましたね。それを「言っていること」に書くんです。こういう風にしていくと、「あ、そうか、テーマが見つかれば書けるんだ」ということに気が付くんですよ。この実習はダメ出しすることが目的じゃなくて、書いているうちに「そうかそうか、テーマさえ見つかれば書けるんだ」というようなことに気が付くためのものなんです。


 この実習で矛盾がいっぱい出ている人は、数日書き続けてみてください。理想的なのは毎朝、書き続けることですが、そうするとだんだん矛盾がなくなって一致してきます。

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ピークパフォーマンス 代表取締役

平本相武(ひらもと あきお)

 1965年神戸生まれ。東京大学大学院教育学研究科修士課程修了(専門は臨床心理)。アドラースクール・オブ・プロフェッショナルサイコロジー(シカゴ/米国)カウンセリング心理学修士課程修了。人の中に眠っている潜在能力を短時間で最大限に引き出す独自の方法論を平本メソッドとして体系化。人生を大きく変えるインパクトを持つとして、アスリート、アーチスト、エグゼクティブ、ビジネスパーソン、学生など幅広い層から圧倒的な支持を集めている。最新著書は「成功するのに目標はいらない!」。コミュニケーションやピークパフォーマンスに関するセミナーはこちらから。


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