チャット+ディスカッションの難しさBiz.ID Weekly Top10

「Mozilla 24」で、会場でのパネルディスカッションのほか、オンラインのチャットでも参加できるプログラムを取材した。ディスカッションを追ったらいいのか、チャットを読み込んだらいいのか、どちらに集中していいものなのだろうか──。

» 2007年09月19日 20時20分 公開
[鷹木創,ITmedia]

 今週のアクセスランキング、1位は「1ドル以下で(テレビなしで)子供を楽しませる10の方法」で、紙飛行機や紙鉄砲、糸電話などを紹介した。筆者もつい懐かしくなり、オフィスに紙鉄砲を轟かせてしまい、編集部のみんなに注意されたのは秘密だ。

 子供のころは、いろいろなことに熱中した。それこそ紙飛行機を折れば、もっとよく飛ぶ飛行機の折り方を研究したし、紙鉄砲はわら半紙や新聞紙など、大きな音が出る素材探しに没頭したものである。ひるがえって、現在──。仕事に限らず遊びにも、何かに熱中することが少なくなった。筆者の主な仕事は原稿執筆だが、記事を書いている間も携帯電話をのぞいたり、メールを送受信したり、メッセンジャーでチャットしたり……。集中できないというか、集中力が散漫になってしまう。どうしたものだろうか。

 集中力といえば、先週末のイベント「Mozilla 24」でも「集中できない自分」を再認識してしまった。筆者が取材したのは「ドキッ! 丸ごとウェブ!! ブラウザだらけの討論大会〜Chatでユーザのポロリもあるよ〜」というパネルディスカッション(9月18日の記事参照)。タイトルにもあるように、会場でのパネルディスカッションのほか、オンラインのチャットでも参加できるプログラムだ。

会場風景。発言しているのはMozillaの金井玄さん。左側のスクリーンにチャットが表示されていた

 パネルディスカッションの本筋は記事をご覧いただくとして、「ディスカッション+チャット」形式だったため、ディスカッションを追ったらいいのか、チャットを読み込んだらいいのか、迷うことしきり。会場のパネリストたちの一部もチャットに熱中してしまい、司会から話を振られても「すみません、聞いてませんでした」と返答に窮する場面も何度か見かけた。「話をちゃんと聞け」とチャット側がたしなめる場面もあり、ディスカッション自体になかなか集中できなかった筆者も恐縮してしまった。

 言い訳するつもりはないが、チャットが面白かったのだ。会場のスクリーンに写されたチャット画面に筆者も何度か目を奪われ、会場ではパネルディスカッションとは異なるタイミングで笑いが起こったりもした。司会者やパネリストもチャットの意見を取り入れたり、チャットの質問に回答したり、100%とは言わないまでも前向きな努力はうかがえた。

 司会者の1人で、チャットシステムを提供していたキッスの金井大延さんは、「筋道が決まっている普通のパネルディスカッションではつまらない。チャットによって一般ユーザーの意見を拾い上げるのが目的だった」という。

 実はこうした「ディスカッション+チャット」形式のイベントは増えてきているという。筆者自身も過去に何度か取材した(1月25日の記事参照)。ただ、現実の会場で行われているディスカッションと、オンライン上のチャットで議論が乖離してしまったり、話がかみ合わなくなってしまうもどかしさはどうしても感じる。お互いが散漫になってしまうのだ。「ディスカッション+チャット」形式のイベントに“まとまり感”を求めるとすれば、イベントを有機的にまとめる“司会術”のようなものが必要なのかもしれない。

 先ほどの金井さんによれば、イベントのチャットログは再編集の上、9月19日付で公開するとのこと。会場だけでは感じられない、オンラインの雰囲気を楽しんではいかがだろうか。

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