仕事“脳内メーカー”がビジネステンプレートサイトに生まれたワケ

あなたの“仕事脳”はどんなカタチ? 1万5000ものビジネステンプレート──「社用車購入の稟議書」「私有車の業務上利用に関する規程」「校内事故による損害賠償請求をするための内容証明」を備える「海」がリニューアルした。

» 2008年01月10日 23時52分 公開
[斎藤健二,ITmedia]

 仕事版“脳内メーカー”が登場した。構築したのは、無償のビジネステンプレートを数多く提供しているビジネス情報サイト「海」だ。

 名前と生年月日、血液型を入力すると自分の仕事能力を診断して“仕事脳”を表示する──。といっても「テストというよりも、占いに近いもの」だと笑うのは、運営するミロク情報サービス ポータルサイト事業部の堀貢一部長だ。

 自分の仕事脳を作成すると、ほかのユーザーの仕事脳との相性を自動的にチェックしてくれる。相性の良いユーザーがどんなビジネステンプレートをダウンロードしているかを知ったり、Q&A機能のページで回答しているのがどんな人なのかを知る手がかりになったりする。シンプルなビジネステンプレートの提供から、ユーザー属性に併せたテンプレートのリコメンド表示を目指した機能だ。

ビジネステンプレートで急成長──こんなテンプレートも

 「海」は元々ビジネスポータルサイトとして2004年12月にスタートした。「最初は(ミロク情報サービスが得意とする)税務会計の“スポーツ新聞”サイトをやろうか! とサイトを始めた。ところが全くPVが伸びず、月間20万PVがやっと」(堀氏)

 そんな海が飛躍するきっかけとなったのは、ビジネステンプレートの提供だ。数を増やすに応じてPVも右肩上がりに伸び、2007年12月のPVは400万を超えた。

 「起業するときに、みんな名刺に書いてあるようなものは用意するんです。オフィスを借りたり電話を用意したり、商品カタログを用意したり。でも、実際にモノが売れたあとの帳票系は準備していないんです」と堀さん。海はそんなニーズにうまく応えた。見積書、検収書、領収書。そうしたテンプレートは常に人気がある。

 PCにダウンロードして使い回すのではなく、毎月ダウンロードしにくるユーザーも多い。出勤簿や領収書といったテンプレートがその典型。こうしたテンプレートによって、リピーターも獲得した。

 とにかくテンプレートの数を増やす──。正月早々に行ったリニューアルでは、テンプレート数をこれまでの8152から1万5000と、ほぼ倍増させた。

犬にかまれた時の損害賠償のときの内容証明書?

 「ペットにより受けた負傷への損害賠償請求をするための内容証明」「著作権侵害している者(会社)に対し、警告するための内容証明」──など、かなり特異なテンプレートも用意しているのが「海」の特徴だ。特にお勧めは、内容証明のコーナーだ。

 「商品が著作権を侵害していると警告してきた会社にたいして、著作権の侵害ではないことを伝えるための書類」なんてものもある。

 意外に、「株主総会議事進行シナリオ例」などのニーズも高いというから、まさにロングテールを地でいくサイトだともいえるだろう。


CGMを活用し、目指す情報へ

 しかしテンプレートを増やすだけではいけない。堀氏が目指したのは、Q&A機能や仕事脳などによって、ユーザー同士が情報を交換し、より多くのテンプレートに触れるようにする仕組みだ。

 「実は、書式の使い方が分からない、という問いが非常に多いんです。みんな活用の仕方に困っている」(堀氏)

 こうしたところから、“仕事脳”を介して同じ業種の人や同じ職種の人がどんなテンプレートを使っているかが分かるようにする──という仕組みにたどり着いた。

 海という名称の由来は、すべての仕事の情報を飲み込む海のようなサイトになりたいという願いを込めた。「ビジネスパーソンの頭の中に入っているノウハウをデータベース化していきたい」

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