「例えば誰かの家を訪問したとき、玄関に入ったとたん独特のニオイがしますよね。でも自分の家は全然におわないと思いません? 実は人間の鼻というのは、次々に新しいニオイに慣れていくものなんです。嗅覚(きゅうかく)が鈍磨してしまうんですね」と、畑氏。
つまりどれだけ気を付けていても、同じ香りを身に付け続けるだけで、鼻が慣れて自分ではニオイを感じなくなる。これが公害ならぬ「香害」の始まりだ。
せっかく付けているいいニオイを感じ取れなくなった本人は、自分でも感じることができる量まで、付ける香りの量を増やしていく。その結果、周囲が「くさい」と感じてしまう事態に陥るのだ。しかし、この事態を「防ぐ方法はある」(畑氏)。
それは嗅覚が鈍磨するという認識を持ち、意識的に同じ香りを毎日付けないこと。「普段は数種類の香りをローテーションで使うのがいい」という。
嗅覚が鈍磨するという認識の上で、さらに上手な香りの楽しみ方がある。それは最も気に入っている香りは、「普段は付けないこと」。その代わり、ここぞという特別なときに付ければ、いつまでも最高の香りを楽しめるそうだ。
お香をビジネスシーンで上手に取り入れる方法には匂い袋の活用がある。しおり状の匂い袋を名刺入れなどに挟んで名刺に香りを移し、名刺を渡した相手に自分をさりげなく印象付ける。そんな使い方をするビジネスパーソンもいるという。
匂い袋を営業車など空気がこもりがちな空間に吊るしたり置いたりしておけば、ほのかな香りが空間を包んでくれるだろう。
最高にいい香りとは「単に値段が高いお香ではない」。3カ条を心得つつ、あなたもさりげない香りのオシャレを存分に楽しんでみては?
第1条:感じ方は人それぞれ。聞香に息づく「奥ゆかしさ」を意識せよ
第2条:「香害」に注意! 嗅覚は鈍磨するものと認識せよ
第3条:最高の香りは、特別なときのみと心得えよ
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