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» 2008年06月03日 18時55分 UPDATE

みんなで作る地球のあした、企業発“巻き込みエコ”最前線:第1回 店舗を通じて目指す、人と環境に優しい社会の実現

外食産業の中でも、特に環境問題に熱心なことで知られるモスフードサービスでは、全国にある店舗を通じてさまざまなエコへの取り組みを行っているという。その活動の様子を見てみよう。

[SOS総務]
SOS総務

Biz.ID編集部より――6月の総務テーマは企業発“巻き込みエコ”

 総務テーマを月間フィーチャーする総務特集。6月のテーマは「みんなで作る地球の明日、企業発“巻き込み”エコ特集」だ。“巻き込みエコ”とは、個人や企業の垣根を越えて、企業が従業員やその家族、一般利用者を巻き込んで一緒に作り上げるエコのこと。第1回目は、従業員やユーザーを巻き込み、エコ活動を展開するモスフードサービスが登場する。


 モスフードサービスでは、各店舗において食材の配送、野菜くずや廃食油のリサイクルなど、さまざまな工夫を実践。さらに独自の「環境大賞」を設立するなど、スタッフの意識付けの面でもユニークな展開を見せている。そして、これらの活動を通じて、「環境に優しいこと」が、お客さまへ、そして地域へと広がっているのだ。

「おいしく食べてほしい」が環境にも優しい配慮に

 モスフードサービスが展開するモスバーガーは、1972年の創業当時より環境に優しい店といわれていた。その一例が、注文を受けてから調理をする「アフターオーダー式」。速さが看板のファストフード業界では、当時、珍しいスタイルだった。注文を受けてから作るため、「作り置きしたものを廃棄する」といったムダを防ぐことに成功している。また店内では、ガラスのコップや陶器のカップで飲み物を提供。使い捨ての紙コップは使っていない。

 これらについて、CSR推進室社会貢献グループのリーダー、佐藤さんは「“おいしく召しあがっていただきたい”という思いから始めたことです。それが環境への貢献にもつながり、うれしいですね」と話す。

モスフードサービスが手掛ける「環境に優しいこと」の一例――廃食油を飼料や肥料、せっけんにリサイクル

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 2000年より、店舗から出る廃食油を飼料や肥料にリサイクルする活動を開始。首都圏から始まり、次第に東北や九州エリアにも拡大し、現在は600以上の店舗が実施している(システムを導入していない店舗は、自治体の許可を受けた処理施設に処分を委託)。回収した廃食油の一部は、せっけんの材料にも活用し、店舗オープン時に配布するなどしている。


 同社は、2004年には、チェーン全体でISO14001認証(製品やサービスの提供により発生する環境負荷の低減を継続するシステムの構築が求められる)を取得。2006年には、循環型社会の構築と地球温暖化防止に向けての取り組みの一環として、「環境保全に向けた取組に関する協定」を締結した。これは外食産業初の「国と事業者による自主協定」で、同社の環境への意識の高さがうかがえる。

 さらに「通いコンテナ」の採用、「廃食油のリサイクル」、配送センターで発生する消費期限切れの食材などを飼料や肥料、固形燃料などにリサイクルするといった循環システムの構築、ポリ袋から紙バッグに切り替えて石油由来の製品利用を減らすなどもしている。

 また、自社だけの活動ではなく、委託配送会社とも協力体制を組み、配送時のCO2排出量の低減も目指している。全国で、1台で常温品、冷凍品、チルド品に対応できる3温度帯の配送車を他社と共同で使用。このほか、一部地域では食材を配送すると同時に野菜くずを回収して堆肥(たいひ)や肥料にリサイクルするなどの活動を行っている。

モスフードサービスが手掛ける「環境に優しいこと」の一例――繰り返し使える「通いコンテナ」

 今まで、レタスなどは段ボールに入れて配送していた。これは見た目がいいものの、1度しか使えない。雨が降るとぬれて破れやすくなる、季節によっては蒸れて野菜の劣化を早めるといった短所もある。そこで2006年7月から、順次折りたたみ式のコンテナを採用。何度も使えるうえ、今までの問題点も解消。出荷元の農家は、段ボールのコスト削減も実現。


モスフードサービスが手掛ける「環境に優しいこと」の一例――野菜くずを栽培セットの培養土に

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 仙台や名古屋の一部の店舗では、レタスやキャベツの外葉や芯、トマトのヘタなどを回収して、堆肥化する活動も手掛けている。これは「完全循環型食品リサイクル」を目指しての実験の一環。製品化した堆肥は栽培セットの培養土に使用し、毎年3月の「モスの日」にお客さまに配布をするなどしている。


 こうした取り組みは、他社にも刺激やヒントを与え、企業の環境活動の輪を広げることにも貢献している。

「環境大賞」などの設立を通じ、スタッフの活動を応援

 また、本部スタッフには「環境ふれあい研修」で、自然と触れ合う機会を通じて、環境を守る大切さを実感してもらっている。店舗のスタッフには、環境について自分たちができることを紹介する「ecoモス通信」などを配布し、意識付けを呼び掛けている。こうした努力もあり、スタッフの間には無駄を省こうという思いが高まり、例えば食器を洗う際も水を無駄にせずきれいに洗う工夫をしている。

 「モスバーガーの加盟店は、当社の考え方を十分理解してくださっているので、みなさん協力的です。1つの店舗で節約できるエネルギー量は微々たるものかもしれませんが、全店舗が力を合わせれば、大きな省エネになりますから」(佐藤さん)

 各店舗にはPOSレジスターを設置し、毎月電気、ガス、水道のメーター数値の打ち込みを推進している。これは環境負荷の状況を把握するためだ。この数値を知ることは、エネルギー消費削減への関心を高める効果もある。そして店舗がさらに省エネを心掛ければ、経費のコストダウンも実現するというメリットもある。

 店舗のスタッフたちは、マニュアルに従うだけでなく自主的な行動も盛んだ。バイクで通っていた学生アルバイトが、自転車に切り替えたという話もある。こうした行動を応援し、さらに意識を高めてもらおうと、2005年、同社は独自に「環境大賞」を立ち上げた。

 これは各店舗のスタッフ自身が企画し、実施した環境活動の中から、優秀なものを表彰するというもの。今年度は和歌山県の「企業の森」事業に参画しているモスバーガー共栄会関西支部が受賞した。地球の環境保全と活性化に役立てようと、地元の民有林に広葉樹の苗木を約2000本植樹した活動を評価したものだ。この植樹活動は、今後も継続する予定だという。ほかにも、貯水タンクを設置して雨水を利用し、トイレの洗浄水を節約するといった事例がある。

モスフードサービスが手掛ける「環境に優しいこと」の一例――「エコリーフ環境ラベル認証」取得

 トマト、レタス、タマネギを各産地から配送センター、各店舗へ運ぶ際の走行距離とCO2排出量などを社団法人産業環境管理協会のHPで公開。「エコリーフ環境ラベル認証」を取得した。これ自体が直接環境に優しいわけではないものの、数値をオープンにすることで社内外の人への環境に対する意識付けや関心を高めることに役立っている。


モスフードサービスが手掛ける「環境に優しいこと」の一例――非石油製品の紙バッグを採用

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 以前、製品の持ち帰り用に使っていたポリ袋は、1枚につき石油を約10ミリリットルccも使用。そこで使用枚数を減らす努力をしていた。さらに2006年7月からは、全店舗でポリ袋を非石油製品の紙バッグに切り替えた。コストはかさむが、環境保全を重視した。店舗で使用する容器や包装の素材も、石油製品から非石油製品への切り替えを検討し、実施に向けて動いている。


環境活動に必須のマンパワーの育成を目指して

 環境活動に関する今後の課題について、佐藤さんは「法律を順守することは大前提。その上で、さらにあらゆる角度から、環境に優しい商品とサービスの提供を目指していきたいですね」と語る。

 こうした目標に近づくには、人の力が必要不可欠だ。同社では今後も、スタッフの意識を高めるサポートをし、店舗内だけでなく、日常的に環境保全を意識して行動する人材育成の貢献を目指している。

『月刊総務』2008年6月号 特集「環境をどう守る? 企業のエコ対策2008」より


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