エコなメディアはどこにある?Biz.ID Weekly Top10

毎年毎年、盛り上がりを増すイベント「エコプロダクト」。会場では“ダイエット! CO2”のスローガンのもと、「配布資料PDFダウンロードコーナー」が用意されていた。

» 2007年12月19日 15時47分 公開
[斎藤健二,ITmedia]

 先週のアクセスランキングトップは、「圧縮新聞」や「訃報ドットコム」といったWebサービスを、プログラミングの勉強を初めて1年足らずで生み出したphaさんについての記事でした。プログラミング自体は確実にハードルが下がっており、アイデアを思いつけば1人でそれを形にすることも難しくなくなってきていることを実感する。

 さて、2位は「エコプロダクト2007」のエコカーに関する記事。このエコプロダクト2007では全体としてCO2削減を掲げており、会場の各所に“ダイエット! CO2”への取り組みが紹介されていた。その中で興味を引いたのが、「配布資料PDFダウンロードコーナー」だ。

 こうしたイベントに配付資料はつきもの。今でこそ、詳細資料がCD-ROMで配られたり、同じデータをWebサイトから入手できたりするようになったが、これもピュアなIT業界でのこと。非IT系のイベントではまだまだ“紙の資料”が命。会場で入手した紙資料が、記事執筆には命だ。しかし、こうして持ち帰った資料は記事を書き終えればそのままゴミになってしまう。

 これをPDFで配布することで、少しでも紙資源の無駄を減らそうという取り組みがこのPDFダウンロードコーナーだ。出展社が独自に実施していることも多いが、主催者が取りまとめて仕組みを用意していることの価値は大きい。

 会場に展示してあるパネルにはケータイ向けのQRコードが描かれており、これを読み込んで指定のURLにアクセスする。そのサイトでPCのメールアドレスを登録すると、そこにPDF資料がダウンロードできるURLが送られてくる。なんかとても回りくどい感じもする。ダウンロードできる資料も基本的にCSR報告書で、会場配布の資料というのは少し内容が違うかも。

 ちなみにこの取り組みに参加していたのは、600社近い出展社の中で、アサヒビールグループ、アレフ、出光興産、宝酒造、日本製紙グループ、フォルクスワーゲン グループ ジャパン、武蔵野大学、UCC上島珈琲、レンゴーの9社。意外にというか、相当少ない。来年はこの10社くらいに増えることを期待していたい。

 さて筆者は雑誌編集者の出身なのだが、紙でできたメディアのエコ的には悩ましい事実も思い出した。多くの雑誌は、印刷した一定量が返本されて捨てられることを前提に多めに印刷を行う。ギリギリに刷っても、もしバカ売れしたときに機会損失になってしまうだけではない。たくさん刷らないと書店でいい位置に並べてもらえないのだ。ページ数が少ないのに、妙に厚い紙を使い全体の厚さが20ミリ近くある書籍を見たことがないだろうか。これは厚みがあって印刷した部数が多いと書店が平積みにして置いてくれるから。そして平積みされたほうが間違いなく売れるのである。

 ならばネットメディアはエコだ! と言えればいいのだが、ネットのサーバもピークトラフィックへどう取り組むかという問題を抱えている。ITmediaもそうだが、何時でも同じくらいのアクセスがあるわけではないからだ。お昼休みは閲覧者が増えるし深夜は減る。つまり、お昼に見る人が快適に見られるようにサーバなどを整備すると、深夜にはそれは遊んでいることになるわけだ。エコ的にも無駄な設備といえるかもしれない。

 一番エコなメディアって何なのか。帰り道にそんなことを考えさせられた、「配布資料PDFダウンロードコーナー」だった。

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