第12回 仮説は間違っている方が都合がいい実践! 専門知識を教えてみよう(1/4 ページ)

前回は「仮説は当たっていなくてもかまわない」という話を書きましたが、本当は「仮説は間違っている方が都合がいい」――のです。その理由は人間が仮説を判断するパターンにありました。

» 2008年06月10日 15時21分 公開
[開米瑞浩,ITmedia]

 前回は「仮説は当たっていなくてもかまわない」という話を書きました。ところがそれは実は少々遠慮した言い方で、本当は「仮説は間違っている方が都合がいい」ということさえ言えるのです。今回はその理由を書いておきましょう。

コミュニケーションを刺激するためには何が必要か?

 私は2003年から「図解」を通して「文章の読み書き」能力を磨く研修を行っています。幸い、現在は定期開催している企業さんの大半でキャンセル待ちの出る人気講座になっていますが、当然ながら最初からうまく行ったわけではありませんでした。

 「うまく行かなかった」ことの1つが、受講生同士のグループディスカッションを盛り上げることです。つまり、例えばあるテーマを設定して、受講生を4人程度のグループに分け、

 「ではこのテーマに関してみなさん自由にディスカッションしてください」

 という合図で自由な議論をしてもらうのですが、これがなかなかうまく行きませんでした。「教育効果」を考えると、私としてはぜひ「活発な議論」をしてほしいわけです。人間、人の話を聞いているだけだとどうしても眠くなります。一方的に情報を自分の頭にインプットしているだけでは、だんだん頭が働かなくなってきますからね。学習のテーマについての理解を深め、よりよく記憶に定着させるためには、「自分の意見を言って、それに対して他人からのフィードバックをもらう」という「双方向のコミュニケーション」が不可欠です。

 コミュニケーションがもたらすそんな効果を狙ってグループディスカッションの時間を取るのですが、これがなかなかうまく行かないもので、講師である私が「さあどうぞ自由に議論を」と言っても、発言の糸口がつかめずお互いに譲り合うような展開になってしまうことが多々ありました。

 ところが、ある時この「コミュニケーションの活発化」の面で非常に効果的な仕掛けを偶然に発見することができました。それは、

  • 意見の小さな違いをピンポイントで拡大して見せる

 という方法でした。

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