この連載の第1回で私はこんなことを書きました。
手っ取り早く明日の単純作業をさせるワーカーではなく、自ら考えて「変化」を起こせるプロフェッショナルを育てたいのなら、応用形を教えるだけではダメ。基本構造からしっかり教え込まなければならない。
同じことがこの「仮説」の件についても言えます。第1回では、教える「知識」の範囲について、「基本構造 対 応用形」を対比して考えました。応用形のほうが教えやすいが、プロフェッショナルを育てるためには基本構造から教え込まなければならないというのは、あくまでも「知識」の話です。
それに対して、今回と前回は「精神」の話をしています。プロフェッショナルというのは「学び続ける」人間です。学び続ける人間に不可欠な探求精神、その象徴が、
という考え方なのです。ですから、「正しい手順を誰かが教えてくれるから、それを守って仕事をすればいい」というような考え方は今この瞬間にきれいさっぱり忘れてください。自分が何をするべきかはあくまでも自分で決めなければならないし、その「決める」能力を持つために、私たちには「間違った仮説を楽しむ」ような探求精神が必要です。プロフェッショナルを育てるような「専門知識の教育」というものは、単に「知識」だけでなく、そうした精神性をも視野に入れて行わなければならないのです。
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IT技術者の業務経験を通して「読解力・図解力」スキルの再教育の必要性を認識し、2003年からその著述・教育業務を開始。2008年は、「専門知識を教える技術」をメインテーマにして研修・コンサルティングを実施中。近著に『図解 大人の「説明力!」』
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