その6 ライバル会社が新規事業を立ち上げた。さてどうする?ビジネス力1分間トレーニング

業績は好調の西山電機。株主からも「もっと新規事業を」という声が上がっています。そんなある日、ライバルの東山電機がフィットネスクラブの新規事業を立ち上げました。さて西山電機はどのような対応をすべきでしょうか。

» 2008年08月26日 09時30分 公開
[西村克己,ITmedia]

Question

 あなたは西山電機の社長です。西山電機の業績は好調で、財務体質は良好です。しかし株主からは、「もっと新規事業を積極的にやるべきだ」という声が上がっています。

 そんなある日、ライバル企業である東山電機が、フィットネスクラブの新規事業を立ち上げました。

 さてあなたは西山電機の社長として、どのような対応をしますか?(複数回答可)

  1. フィットネスクラブの新規事業を立ち上げる
  2. フィットネスクラブは得意分野ではないのでやらない
  3. 不得意分野を恐れず居酒屋チェーンを立ち上げる
  4. 得意分野を活かせる分野に限定して新規事業を考える

Answer

今回の問題は『戦略思考1分間トレーニング』の1問目から出題

 企業は成長していくことで、社員の活気を維持し、チャレンジ精神を高めることができます。しかし、やみくもな規模の拡大や、思いつきで新規事業に手を出していたのではなかなか成功できません。また、ライバル企業の後追いだけでは、企業の独自性を発揮することはできません。

 既存の強みを生かして、本業重視の多角化が基本です。(1)(3)のフィットネスクラブと居酒屋チェーンは、既存技術や販売チャネルなどを活かせないので、好ましい新規事業ではありません。(2)は、得意分野ではないのでやらないのは正解です。(4)は、得意分野を活かせる分野に限定して新規事業を考えるので正解です。正解は(2)(4)です。

解説:自社のドメイン(事業領域)で戦え

 経営戦略上、ドメイン(事業領域のこと、事業ドメインともいう)は重要な意味を持っています。孫子いわく「勝ちやすさに勝つ」とありますが、自社の得意領域で勝負することが戦略の定石です。ノウハウもない未知の領域での他流試合では、資金を消耗して、返り討ちにあう確率が高いのです。

 ドメインは自社の強みの領域、有利に戦える領域を定義します。武士の商法とは、商売を知らない武士が商売をやってもうまくいかない意味。自分の土俵をはみ出して戦っても、勝ち目はほとんどありません。

著者紹介 西村克己(にしむら・かつみ)

 岡山市生まれ、大学教授、経営コンサルタント。1982年東京工業大学経営工学科大学院修士課程終了。富士写真フイルムを経て、1990年に日本総合研究所に移り、主任研究員として民間企業のコンサルティング、講演会、社員研修を多数手がける。2003年より芝浦工業大学大学院工学マネジメント研究科教授。専門分野は、MOT(技術経営)、プロジェクトマネジメント、経営戦略、戦略的思考、論理思考、図解思考。

 主な著書に、『経営戦略のトリセツ』『よくわかるプロジェクトマネジメント』『図解する思考法』(日本実業出版社)、『戦略構想力が身につく入門テキスト』『論理的な考え方が面白いほど身につく本』『論理的な文章の書き方が面白いほど身につく本』(中経出版)、『戦略思考トレーニング』『論理的な考え方が身につく本』『論理的な話し方が身につく本』(PHP研究所)、『スピード仕事術』『戦略経営に生かす兵法入門』(東洋経済新報社)、『脳を鍛えるやさしいパズル』(成美出版)など、約60冊。



Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ