その7 問題解決をした人は誰?ビジネス力1分間トレーニング

出張したので会社におみやげを買った、クレームを解決した、目標のコスト低減10%を達成した、不採算部門をリストラした――。この中で問題解決をした人はだれでしょう?

» 2008年08月28日 11時30分 公開
[西村克己,ITmedia]

Question

 「問題とは何か」「問題意識とは何か」が分かった松島くん。問題意識を持って、問題を見つけることも大切だと知りました。さて、問題解決とは何でしょうか。次の中で問題解決をした人は誰ですか?(複数回答可)

  1. 出張したので会社におみやげを買って帰った
  2. 顧客からのクレームを解決した
  3. 改善チームを作って目標のコスト低減10%を達成した
  4. 赤字のたれ流しを防ぐため、不採算部門をリストラした

Answer

今回の問題は『問題解決力1分間トレーニング』の2問目から出題

 問題解決とは、問題(基準と実際とのギャップ)を把握して、実際を基準まで引き上げることです。

 (1)の出張のおみやげは、会社の人が期待していない場合は買わなくても同じなので問題解決ではありません。ただし、「買ってきて」と頼まれた場合は、買ってくることで相手の基準(買ってきて欲しいという期待)を満たすので、問題解決になります。(2)はトラブル解決することで基準(正常状態)に持って行けるので問題解決です。(3)(4)は、目標とした基準を達成するので問題解決です。正答例は(2)(3)(4)です。※(1)は場合による

解説:問題解決は現実と基準のギャップを埋めること

 問題解決とは、実際を基準値の状態を一致させることです。たとえばクレーム発生の場合、営業活動に支障があるので基準値から逸脱しています。そこでクレームを解決すればトラブルは解決し、問題解決となります。

 また工場で慢性的に1%の製品不良が発生していたとします。あるトラブルで製品不良が5%になったとすれば、なんとかもとの1%に戻すことを考えるでしょう。製品不良が急に増えた異常に気がつかなければ、5%の異常な製品不良発生への対策が、放置されるかもしれません。

 つまり、問題解決とは、基準値と実際を把握してギャップを問題として認識する。そしてギャップをなくすために是正措置を実施して、実際の状態を引き上げていく活動なのです。

 問題解決とお節介の違いは何でしょうか。関係者が問題意識を感じていない場合、何をやってもお節介になります。関係者が問題意識を共有化してこそ、問題解決の第一歩が踏み出せるのです。

著者紹介 西村克己(にしむら・かつみ)

 岡山市生まれ、大学教授、経営コンサルタント。1982年東京工業大学経営工学科大学院修士課程終了。富士写真フイルムを経て、1990年に日本総合研究所に移り、主任研究員として民間企業のコンサルティング、講演会、社員研修を多数手がける。2003年より芝浦工業大学大学院工学マネジメント研究科教授。専門分野は、MOT(技術経営)、プロジェクトマネジメント、経営戦略、戦略的思考、論理思考、図解思考。

 主な著書に、『経営戦略のトリセツ』『よくわかるプロジェクトマネジメント』『図解する思考法』(日本実業出版社)、『戦略構想力が身につく入門テキスト』『論理的な考え方が面白いほど身につく本』『論理的な文章の書き方が面白いほど身につく本』(中経出版)、『戦略思考トレーニング』『論理的な考え方が身につく本』『論理的な話し方が身につく本』(PHP研究所)、『スピード仕事術』『戦略経営に生かす兵法入門』(東洋経済新報社)、『脳を鍛えるやさしいパズル』(成美出版)など、約60冊。



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