手帳はスケジューラからクリエイティブ・ギアへ2009手帳マッピング(1/2 ページ)

9月になって、2009年版の手帳も本格的に店頭に並び始めた。今度の手帳はどんなトレンドがあるのだろうか。Business Media 誠で「“うふふ”マーケティング」を連載する郷好文さんが、最新の手帳をマッピングする――。

» 2008年09月02日 20時36分 公開
[郷好文,ITmedia]

 世の中、たいがいのことは二極で動いている。勝者と敗者。貧と富。美と醜。男と女。オモテとウラ。影と日なた。都会と田舎。OnとOff。日々の仕事や生活の中で、二極がついてまわるのが人の一生だ。

 だからなのか、たいていのビジネスパーソンについてまわる手帳、その機能は2つに大別できる。「スケジュール」と「アイデア」。カレンダーや予定表、ToDoリストなどのスケジュール管理と、無地や罫線入りのメモページのアイデアの書き留め――である。この2つはロックバンドのリズムギターとリードギターが、リフを刻みあい上り詰めるようにコード進行するのに似ている。つまり表裏一体なのだ。

蛇腹の1年手帳

 ある手帳からその一体ぶりを見てみよう。

 蛇腹が特徴のCoated Design Graphicsの2008年版手帳『GRAPHISCHES HUNDBUCH』は、2つの機能がどこまでいっても表裏一体だ。

Coated Design Graphicsの2008年版手帳『GRAPHISCHES HUNDBUCH』。中は蛇腹状で、どこまでも広がる

(左)蛇の背中はスケジューラ面。(右)お腹はアイデア面

 とにかく長い! 途中で継ぎ目が何カ所もあり、用意した撮影場所では伸ばしきれなかったほど。およそ1年分、52週とすれば90ミリ×52週=4.5メートル以上だ。スケジューラ面は“蛇腹の見開き”が、アイデア面は罫線入りの“蛇腹の無地ページ”がひたすら続く。

 1年はかくも長く曲折するものだ。スケジュールの進行とアイデアの蓄積。時の流れと仕事の記録がからみあって行くのが、手帳の基本的なスタイルなのだ。

スケジュール管理よりアイデア重視への手帳トレンド

 だが、スケジュールやToDo管理については、今やPCや携帯でやるという人も増えた。確かに、スケジュールはデジタルに置き換えやすい。スケジュールの情報を共有したり、交通費の精算データをメールで送受信したり、デジタルで管理した方が何かと便利なのである。

 一方アイデアはそうは行かない。PCを使おうが手書きに頼ろうが、出るときは出るし、出ないときは出ない。それにアイデアには、スケジューラのように7や12や365といった普遍的な記入リズムもない。最良のアイデアはふと降ってくる。寝床でもトイレでも道ばたでも、時にしばられず、場所を構わずやってくる。そしてすぐに走り去る。

 だからトイレに持ち込んだ新聞の余白は貴重だし、そうした紙がないと手の平に書いたり、トイレのドアにさえ書いたりする人もいる。「オ〜イ、紙がないゾ!」と家人に叫んで、ドア越しに違う紙を手渡しされても、めげずに書き留めるわけだ。

 ポトンと生まれたアイデア、やはり手書きで手帳に書きたい。そこでこの短期集中連載では、手帳とアイデアの生産的な関係に的をしぼりたい。アイデアを重視するタイプの読者に、2009年の手帳を選定するヒントになれば幸いである。

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