その14 鳴かず飛ばずのすし屋さんビジネス力1分間トレーニング

親の代から引き継いだおすし屋さん。客単価8000円くらいなのですが、常連も減り、ジリ貧状態。何か大きな方向転換が必要です。さてあなたなら、どうします?

» 2008年09月25日 08時30分 公開
[西村克己,ITmedia]

Question

 あなたは、親の代から引き継いだすし屋を経営しています。客単価8000円くらいなのですが、常連客も減り、ジリ貧状態になっています。ここで何か大きな方向転換をしなければと感じています。

 さてあなたは、どうしますか?(複数回答可)

  1. 店を改装して客単価2〜3万円の高級すし屋に転換する
  2. 客単価を下げて、3〜4000円のすし屋に転換する
  3. 広い場所に移転して回転すし屋に転換する
  4. 現状維持を継続する

Answer

今回の問題は『戦略思考1分間トレーニング』の4問目から出題

 消費の2極化傾向が顕在化しています。2極化傾向とは、ブランドなどの超高級品か、超低価格でほぼ納得できる一般品の両極端の商品が売れるという傾向です。中程度の価格で中程度の品質の商品がなかなか売れないようです。近年、客単価8千円前後のすし屋の多くが廃業しています。

 (1)の高級すし屋に転換するのも一案ですが、老舗などの知名度やブランド力がなければ容易に集客できません。(2)の客単価を下げて超低価格に転換するのはおすすめです。(3)の回転すし屋では、費用がかなりかかります。(4)の現状維持ではジリ貧のままでしょう。回答例は(2)です。

解説:ターゲットを絞り込む

 全ての人たちを満足する商品やサービスを目指すと、全ての人が中途半端な満足になってしまいます。たとえば、多機能な家電製品を作っても、高齢者には使いにくいものになってしまいます。また女性と男性では、嗜好性が大きく異なります。

 かつて日本人の8割近くが中流階層意識を持っていた時代では、中級品指向がありました。そこそこ満足すれば購入してくれました。

 しかし近年、所得の2極化傾向が顕在化してきました。お金にゆとりがある人は、高くても満足するものを選びたいと考えます。一方お金にゆとりがない人は、少しでも安いものを選ぼうとします。つまり、消費の2極化傾向が顕在化しているのです。

 ターゲット顧客として、高額所得層をねらうのか、一般所得層をねらうのかという視点も重要になっています。中間層ねらいではなかなか勝てない時代です。

著者紹介 西村克己(にしむら・かつみ)

 岡山市生まれ、大学教授、経営コンサルタント。1982年東京工業大学経営工学科大学院修士課程終了。富士写真フイルムを経て、1990年に日本総合研究所に移り、主任研究員として民間企業のコンサルティング、講演会、社員研修を多数手がける。2003年より芝浦工業大学大学院工学マネジメント研究科教授。専門分野は、MOT(技術経営)、プロジェクトマネジメント、経営戦略、戦略的思考、論理思考、図解思考。

 主な著書に、『経営戦略のトリセツ』『よくわかるプロジェクトマネジメント』『図解する思考法』(日本実業出版社)、『戦略構想力が身につく入門テキスト』『論理的な考え方が面白いほど身につく本』『論理的な文章の書き方が面白いほど身につく本』(中経出版)、『戦略思考トレーニング』『論理的な考え方が身につく本』『論理的な話し方が身につく本』(PHP研究所)、『スピード仕事術』『戦略経営に生かす兵法入門』(東洋経済新報社)、『脳を鍛えるやさしいパズル』(成美出版)など、約60冊。



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