新・ツキの研究 「ツイていない」からの脱出樋口健夫の「笑うアイデア、動かす発想」

何も行動しないで開き直っている限りはツキに変化は起こらない。ではどうしたらツイていない状態を“脱出”できるのか。ビジネスシーンでの方法をいくつか考えてみよう。

» 2008年10月17日 08時30分 公開
[樋口健夫,ITmedia]

 「俺はツイていないんだあ」と、いつもぼやくだけの人がいる。何も行動しないで開き直っている限りはツキに変化は起こらない。ツキっこない。

 ツキの反対語は「ツイていない」ではない。ツイていないというのは、ツキがない状態だ。つまり「ツキのダム」に水がないという状態なのである。では反対語は何か、というと正に「不幸」だと勝手に解釈している。

 勝手な解釈を続けると「ツイていない」というのはツキの“親戚”くらいに考えた方がよい。いつも同居しているのだが、時々は不在になることもあるというわけである。だから「ツイていない」と思っても、ちょっとしたことでツキが来ることもある。

 今、絶好調であっても、次の瞬間には何が起こるか分からない。とはいえツイていない状態が、その後のツキにつながることもある。いわゆる「人間万事塞翁が馬」「禍福はあざなえる縄の如し」などというが、これらも「ツキ」と「ツイていない」が同居するから起こる現象だ。

 仮に「自分はツイていない」と思っているとして、具体的にどうすればツイてる状態になるのだろうか。いくつかツイてない状態からの脱出案を考えてみた。独断と偏見だがそれぞれ効果に応じて10段階で評価した。参考にしてほしい。

脱出法 説明 評価
服装や髪形を変える 印象は変わるが、それも数日だけ。すぐに元に戻る。 ☆☆
何か資格を取る 資格の内容にもよるが、現在の仕事に関係していなければ評価は低い。現在の仕事に関係していれば素晴らしい効果がある。資格を取ろうと継続するだけでも評価は高まる。継続できなくて中断してしまえば、評価は最低だ。 中断した場合:☆
継続した場合:
☆☆☆☆☆☆☆
仕事に関連した資格を取った場合:
☆☆☆☆☆☆☆☆
会社の部署を変える 希望して異動しても、最初のうちは効果があるようだが、そのうち以前と同じになる。 ☆☆☆☆
地方に転勤する 人にもよるが、案外効果は高い。地方に転じた途端、懸命に仕事して名前が轟くのも悪くない。 ☆☆☆☆☆☆
今の仕事の専門家になる 極めて有効な自己改革。現在の仕事の技術の専門家として評判が確立すれば、いろいろな仕事が舞い込むだろう。これはチャンスだ。 ☆☆☆☆☆☆☆☆
転職 環境変化は最大。だが、自分自身を変えたいなら、考え方を変えなければ、どんな仕事に就いてもうまくいかないだろう。 ☆☆から☆☆☆☆
結婚する 仕事のツキが変わることもあるが、変わらないこともある。結婚相手のツキが絡んでくる ☆☆☆☆から☆☆☆☆☆☆☆
重要顧客への仕事 これがやはり本命。もちろん勉強と経験と勘と貫録と熱意のバランスが大事だ。継続できなければ評価は下がるから注意。 ☆☆☆☆☆☆☆☆
継続できないと☆☆
若いスタッフの面倒を見る 特にチームの活性化ができれば、評価は高くなる。 ☆☆☆☆☆☆から☆☆☆☆☆☆☆☆
新しい企画を実行する 内容によるが、ツキに転じる可能性がある。ただし、ずっこけることもありえるが。 ☆☆☆☆から☆☆☆☆☆☆☆☆
誰も見向きもしない仕事をする 「彼は、こんなところにすごいパワーがあったんだ」と注目を受け、ツキも上がる。 ☆☆☆☆☆☆☆☆

 急いで“脱出する”のが無理なら、徐々に変えていくのも手だ。オススメは自分のためのノートを取ること。そのノートに、仕事の関係の発想を毎日何かを書く。説明には絵も加える。企画案、営業方針案、顧客拡大策、技術改良案――など何でも構わない。とにかく毎日考えて書きためていく。そう、要は筆者が提唱するアイデアマラソンである。

 単に書くだけで終わってはダメだ。書いた発想を、周囲と話し合うことも大切なのだ。周りの意見を取りれて、ブラッシュアップした企画案を出していくというわけである。こうした試行錯誤の中で、まずは自分1人でも実行できる企画を試みてみるのもいいだろう。

 半年ほど続けていけば、自分がノートに書き込んだ内容に似た動きが現実の仕事に生じる可能性もある。すると「先見の明がある」「かなりよく考えている」「鋭い」という評判につながる。評価は☆☆☆☆☆☆☆☆だ。


 もちろんこの方法を試したとして、すぐに結果が出ないからと言ってあきらめてはダメ。万が一キレでもしたら即ゲームオーバー、評価はマイナスになってしまうぞ。

今回の教訓

ツイてる親戚はいるけども。


著者紹介 樋口健夫(ひぐち・たけお)

 1946年京都生まれ。大阪外大英語卒、三井物産入社。ナイジェリア(ヨルバ族名誉酋長に就任)、サウジアラビア、ベトナム駐在を経て、ネパール王国・カトマンドゥ事務所長を務め、2004年8月に三井物産を定年退職。在職中にアイデアマラソン発想法を考案。現在ノート数338冊、発想数26万3000個。現在、アイデアマラソン研究所長、大阪工業大学、筑波大学、電気通信大学、三重大学にて非常勤講師を務める。企業人材研修、全国小学校にネット利用のアイデアマラソンを提案中。著書に「金のアイデアを生む方法」(成美堂文庫)、「できる人のノート術」(PHP文庫)、「マラソンシステム」(日経BP社)、「稼ぐ人になるアイデアマラソン仕事術」(日科技連出版社)など。アイデアマラソンは、英語、タイ語、中国語、ヒンディ語、韓国語にて出版。「感動する科学体験100〜世界の不思議を楽しもう〜」(技術評論社)も監修した。「アイデアマラソン・スターター・キットfor airpen」といったグッズにも結実している。アイデアマラソンの公式サイトはこちら


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