第5回 負け犬
クラスで一番成績の良い○○ちゃんは、うちの百科事典を使って勉強しているという情報に母親たちは弱かった。
お母さんたちの気を引くキャッチフレーズを作ったことも重要ですが、それは当たり前のこと。もっと重要なことを城攻めに例えると、「いきなり本丸を攻めない」ことです。百科事典販売のターゲットは、もちろん百科事典を持っていない家庭ですが、そこにいきなり売りに言ってもダメなのです。
この情報を持っている裏には、先に百科事典を持っている家や、自分が売りに行きたいエリアでないところで情報収集をしていたという事実があるのです。
第5回 負け犬
〜中略〜
「トヨタ2000GTっていうんだけど、今の車よりかっこよくない?」
「うーん。微妙」
「そうか。おじさんは大好きなんだけどね」
「こっちのコスモスポーツってやつのほうが好きだな」
いつの間にか、事典は子供の手の中にあった。熱心に見つめている。和人は話しかけるのをやめた。
子供相手に、ずっと話をしている場面があります。最初は百科事典に興味のなかった子供も、だんだん熱心に読むようになりました。会話の妙を味わってください。子供に説教をしたり、逆らったりしていません。
子供との対話が、お母さんに対して最高のプレゼンテーションになっていることにも注目。百科事典を買うと子供がどうなるかという姿を見せつけているからです。プレゼンでは、商品説明よりも「商品を買うとどんないいことがあるのか」を具体的に思い描けるようにすることが最重要なのです。
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