解説編 素人でも営業の結果を出せる9つのヒント奇跡の無名人たち(5/5 ページ)

» 2008年10月29日 08時00分 公開
[森川滋之,ITmedia]
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営業は結果! だが結果に至る努力は科学的に

第8回 ようやくスタートライン

 「何が“必ず”だ」と少し引っかかったが、営業とは結局結果がすべてなのだ。和人は素直に礼を言い、電話を切った。

 営業はシビアに結果を求められます。言い訳は求められません。できない理由をいくら言っても、上司には怒られ、周囲はシラけるだけです。

 しかし、結果はすぐに出ないもの。いくつもの営業所でトップ営業を勝ち取った吉見氏でも、最初の月から結果が出たことはほとんどありません。吉見氏に聞くと、3カ月目から連続トップというパターンを得意としているようです。最初の2カ月は、情報収集と布石を打つことに集中します。そうすると3カ月目以降は、偶然売れるのではなく「確実に売り続けること」ができるのです。結果を出すための努力は科学的に。そして結果が出るまでは、何を言われても言い訳しないことが大切です。

クオーターの愚直――努力は裏切らない

第8回 ようやくスタートライン

 頑張って良かったと思いました。もうそれだけ。頑張ってたら、神様が見ててくれるんだなって、本当に、本当に、そう思う

 精神論に聞こえるかもしれませんが、努力は裏切らないということを伝えたくて書きました。クオーターの行為は、愚直でした。読者のみなさんなら、もっと理論的、科学的なアプローチをされると思います。

 しかし、愚直な方法でも成功することはあるのです。この話は、クオーターの女性が実際にやったこと、すなわち本当にギリギリの本数で営業目標を達成したという実話に基づいています。モデルになった女性の人生にとって、この体験は自信の源になっていると言っても過言ではないでしょう。

あきらめない――ための理由を探す

第8回 ようやくスタートライン

 なのに、営業本部長からの呼び出しで、今月の目標が達成できなければつぶすと宣告された。ぼくは、その時点であきらめてしまったんだ

 和人は本当に幸運だったと思います。あきらめていたのは彼だけで、ほかのメンバーは最後まであきらめていなかったからです。単なる幸運ではなく、和人が自然とあきらめない集団を作っていたということもあるのですが。

 「万策つきたときあきらめないという選択肢がある」――。これはぼくが師事するアントレプレナーセンターの福島正伸先生の言葉ですが、本当にその通りだと思います。和人が最後にこのチームなら日本一になれるかもしれないと思ったのは、あきらめない人間の集団ができたことを確信したからです。

 あきらめないと簡単に書きましたが、あきらめないための理由が必要です。この話の場合は、どちらかというと「はぐれもの」の人たちが、自分を輝かせてくれる場所を見つけて、それを守りたいと思ったのが、その理由です。

 なにか事業を興すとか、重要な仕事に取り組むなどの際は、最初にあきらめない理由を探すことが重要です。


 以上、3回に渡って「奇跡の無名人たち 震えるひざを押さえつけ」を解説しました。読者のビジネスにとってお役に立てば幸いです。次回からは、いよいよ「大口兄弟の伝説」編を開始します。お楽しみに!

著者紹介 森川“突破口”滋之(もりかわ“とっぱこう”しげゆき)

 大学では日本中世史を専攻するが、これからはITの時代だと思い1987年大手システムインテグレーターに就職する。16年間で20以上のプロジェクトのリーダー及びマネージャーを歴任。営業企画部門を経て転職し、プロジェクトマネジメントツールのコンサル営業を経験。2005年にコンサルタントとして独立。2008年に株式会社ITブレークスルーを設立し、IT関係者を元気にするためのセミナーの自主開催など、IT人材の育成に取り組んでいる。

 2008年3月に技術評論社から『SEのための価値ある「仕事の設計」学』、7月には翔泳社から『ITの専門知識を素人に教える技』(共著)を上梓。冬には技術評論社から3冊目の書籍を発売する予定。


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