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» 2008年11月18日 21時29分 UPDATE

御社のオフィス見せてください:雨ニモマケズ、風二モマケズ――エコライブオフィスで感じたコクヨの“本気”

「(エコライブオフィスの)環境には“無理やり感”があるが、ある種の試験だ」とコクヨの黒田社長。11月18日に公開した「エコライブオフィス品川」でコクヨは何を目指すのか。

[鷹木創,ITmedia]
st_ko01.jpg コクヨの黒田社長

 「(エコライブオフィスの)環境には“無理やり感”があるが、ある種の試験だ。社長から寒い中で仕事をしろと言われたら、優秀なビジネスパーソンはそういう厳しい環境の中でどうやって結果を出すのか。仕事の効率を上げるために自然と自分から手が上がるのではないか」。こんなことを話したのはコクヨの黒田章裕社長。同社が11月18日に公開した「エコライブオフィス品川」での言葉だ。

エコ重視で考える生産性

 コクヨのエコライブオフィスは、コクヨが7億円の総工費をかけて改築した新しいオフィス。「感じとる」「アイデアを出す」「形にする」「発信する」という4つのフェーズをワークスペースに割り当て、それぞれのフェーズを四季にたとえた。冬のワークスペースで情報を感じ取り、感じ取ったアイデアを春のワークスペースでブレストしたりしてアイデアにする。アイデアを形にする夏を過ぎたら、収穫の秋。いよいよ外部に発信する――いわば「適業適季」というわけである。

st_ko02.jpg コクヨの「エコライブオフィス品川」。4つのワークスペースを四季にたとえている
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 エコの名前が示すとおり、自然の光を取り込んだ採光や、屋外の風を利用した空調などで60トン(従来比41.5%減)のCO2削減を目指す。フリーアドレスのオフィス内には天井のないガーデンゾーンもレイアウト。太陽の下で仕事することも可能だ。

 面白いのは、「オフィスの快適性よりも環境負荷の軽減を重視した」ところ。エコを重視して働きやすさを犠牲にした――と言えるかもしれない。例えば、先ほどのガーデンオフィス。無線LAN(IEEE 802.11b/g)と電源を完備しており、春と秋といった快適な季節にノートPCを持ち込めば、気持ちよく仕事に打ち込めそうだ。一方、夏や冬は暑さ寒さが厳しそう。実際にガーデンゾーンで働いていたスタッフに聞くと、「昼間は気持ちいいですけど、最近夕方になると寒くて」とも。かじかんだ手でPCを操作するのは辛いからか、取材中も室内に戻って仕事を続ける人もいた。

st_ko04.jpgst_ko05.jpg 電源設備もある。携帯電話の充電用に太陽電池による充電装置もあった

st_ko06.jpgst_ko07.jpg ガーデンで働いていた人たちの多くは、ノートPCを持ち歩く営業関係の部署に所属する人たち。開発や企画の部署ではデスクトップPCのため、必ずしもフリーアドレスではないという。なお、エコライブオフィスを担当したコクヨファニチャーでは、「年間営業日の3分の1にあたる90日間」をガーデンゾーンで仕事すると目標に設定している

 冒頭に語った黒田社長の真意はこうだ。「これまでは経営層が社員に対して残業するな、エコに気を配れと“強制”してきた。しかし、オフィスでのワークスタイルを変えることで、社員自身が自発的に業務を改善するのではないか」

 夕方になると暗くなるガーデンゾーン。手元を照らす照明もない。つまり、日没までに仕事を仕上げなければならない――というわけだ。冬の寒い時期なら暖かい昼間のうちに、夏の盛りであれば午前中の涼しい時間帯に仕事にめどをつける“必要性”が出てくるのである。

30分以上有料のオフィス

st_ko08.jpg 人感センサー付きLED照明。人がいないと光が弱まる

 環境に応じて、社員が自発的に仕事を向上させる――。こうした狙いがエコライブオフィスの各所に目立った。

 天井照明はLEDに変えた。通常、700ルクス程度だが、場所によっては600ルクスや400ルクスに落としている。事務作業には明るい光が必要だが、ミーティングゾーンやプレゼンゾーンは明るくなくてもいいという割り切りだ。LEDには人感センサーが付いており、近くに6分間にわたって人がいない場合は200ルクスまで暗くなる。

 フリーアドレスも特徴的だ。フリーアドレスとはいうものの、勝手に席を決められない。「ダーツシステム」(座席アシストシステム)と呼ばれる席順を決めるシステムが席を割り当てるのだ。利用者はシステム上で、これから取り掛かる仕事の内容や、仕事を終えるまでの予定時間を登録。その仕事に関連のある人同士が近くの席になる。また、予定時間を超過すれば次の人がその席にやってくるため、「時間を意識して仕事ができる」のだ。「ノンテリトリアルな職場は、好きな人が固まってしまいがち。それではコミュニケーションも固定してしまう」(コクヨ)

st_ko09.jpgst_ko10.jpg 黒田社長もフリーアドレスの対象だ。逆に言うと、社長室(改修中)に一般社員が席を指定されることもあるという

st_ko11.jpg フリーアドレスの場合、誰がリーダーかよく分からなくなるので、プロジェクトリーダーの机の上などにタワーのようなオブジェクトを置くという

 ちなみにフリーアドレスのスペースにかかる費用は30分まで無料だが、それ以上は有料。部署ごとに精算する。つまり、30分以内に仕事を完了せよ、ということである。

 暑さ寒さの厳しい屋外だったり、微妙に暗いLED照明の部屋だったり、30分以上仕事したら有料だったり――。場合によっては、「こんな環境なら自宅で可愛い息子を目の前にしながら仕事をした方がいい」と憤る社員も出てくるかもしれない。実は、黒田社長もそれを望んでいる。「そうなって初めて、会社に対して『VPNをつないで自宅でも仕事ができるようにしてほしい』という要望が出てくるはず。そこまで社員が主体的になって生産性の向上に取り組んでほしい」

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