Biz.IDでは、「面白法人カヤック」のオフィスに潜入することに成功した。ブレストツールを開発したり、総務向けポータルを構築したり、さまざまな事業を繰り広げるカヤック。果たして、どんなオフィスなのだろうか――。
ある時はブレインストーミングツールを開発したり、またある時は、総務向けポータルを構築したり、またまたある時は、アイデアを販売するサービスを提供したり――。その実態は、「面白法人カヤック」である。
今回Biz.IDでは、このカヤックのオフィスに潜入することに成功した。果たして、どんなオフィスなのだろうか――とカッコつけてみたが、実はカヤックのオフィスは結構有名。オフィスルームに入ると、いきなり目につくのは畳なのだ。
カヤックが2007年11月にオフィスを移転して以来、筆者はこの畳が気になって仕方なかった。なぜなら、オフィスを四角く囲むようにレイアウトされたワーキングデスクの真ん中が畳だったからだ。ワーキングデスクを四角く囲むケースはないわけではない。ミーティングの時などにそういう並びに変えられるようにしているケースもあるが、何も真ん中に畳を置かなくてもいいだろうと、筆者は思ったものだ。
恐らく、畳の上でミーティングをするつもりなのだろうが、あまりにも目立ちすぎる。周りを囲んで仕事している人たちの集中力が途切れてしまうのではないか。ちょっと遠慮しつつ、カヤックの広報を担当している松原佳代さんに促されて、畳の上に上がってみた。
周りの人たちはカチャカチャとキーボードを打つ手をやめない。話を聞くと「もう慣れました」という。そうか、慣れるものなのか。慣れてしまうと、利点が見えてくる。畳に座って話しかけると、相手の正面から話ができるのだ。一見普通に思えるが、通常のオフィスだと話したい人の背中に向かって声をかけざるを得ない。相手に振り向かせる労力をかけるのである。しかも、1回声をかけただけでは振り向いてくれない人もいる。声をかけるのも気兼ねしてしまう。
「こんな感じで、すぐ打ち合わせに入れるんですよ」と松原さん。ちょこんと座って、ノートPC越しに会話が始まる。確かにカジュアルだが、相手の視界にも入りやすいし、声もかけやすい。意外と実用的なのかもしれない。
畳があるなら、掘りごたつも欲しいなあ、と思っていた筆者の考えを見透かされたのか、松原さんが笑って答えた。「実はあるんです」。オフィスのちょうど中央あたりに、ガラスに囲まれたゾーンがある。何やらそこに、居酒屋のようなしつらえがあるではないか。
横長の机は7〜8人ぐらいが座れそう。さすがに仕事するところだけあって、テーブルの中央にはイーサネットケーブルと電源コンセントを用意しているが、「社内ではワタミって呼んでいるんですよ」
反対側には、やはりガラス張りの部屋の中に社長室。社長室の周りも社員がぐるりと囲むレイアウトになっている。社長室のわきに席を置く林真由美さんは、冒頭に挙げたアイデアを販売する「元気玉」の担当者。開発環境には満足しているが、社長の机が汚いことに不満だ。「何回言っても汚いままなんです。もう慣れちゃったのかもしれない」と漏らす。ガラス張りだけあって、通るか通らないかは別にして、下からの意見はかなり社長に伝わるようだ。
上の階は会議室。ここも一風変わっている。普通の会議室もあるが、一番広いスペースは、一段高くなっていてふかふかのカーペットが敷かれている。ちょうど採用シーズンということもあって、会社説明会はこのカーペットの上で行われたという。
2008年度に新卒で入社した本間利沙さんは鎌倉生まれの鎌倉っ子で、鎌倉に拠点を置く会社に就職したかった。当時カヤックは新卒の定期採用を行っていなかったが、本間さんはカヤックのWebサイトで採用情報を見て電話をかけた。そうしたら、「まずはインターン」として採用されたのだ。
ちなみに定期採用は2009年度から開始。すでにWebページ上でも採用ページがオープンしている。実はこの採用担当が本間さんだったりする。最初の“関門”は社員当てクイズというのもカヤックらしい。
「面白法人と名乗るのには社内で議論もあったんです」と松原さんはいう。本当に面白いなら、わざわざ面白法人と名乗る必要はない。それでも敢えて面白法人と名乗ることにした。名乗ることで、言い訳できなくなるからだ。オフィスを見る限り、“言い訳”は見当たらなかった。これからも面白法人カヤックに注目したい。
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