第4回 企業ブログの“効果”はどう計る?企業ブロガーの転ばぬ先の杖(3/4 ページ)

» 2008年12月10日 10時16分 公開
[シックス・アパート 中山順司,ITmedia]

1.Before & After

屋形船の濱田屋が運営する、隅田川や東京湾の周遊屋形船紹介サイト忘年会や貸切の宴会として利用されるだけでなく、ブロガーの話題になるユニークなサービスを次々と導入している

 ダイエット商品や美容サービスの広告でよくある“ビフォア&アフター”で、文字通りブログ導入前と後で、Web上で計測できる数字を比較するやり方です。狙っているキーワードのSEO効果がどれだけ改善されたか――は分かりやすい成果になります。これから狙うニッチなワードでもいいでしょう。「検索順位がUPしているけど、そもそもブログ導入前って何位に表示されていたんだっけ?」とならないよう、導入前に現状把握をしておきましょう。

 屋形船の濱田屋さんでは、日常の業務やお客さまからのお問い合わせをヒントにし、お客さまが検索するであろうキーワードを洗い出しています。例えば、新しい観光需要発掘のため、「焼肉」や「デート」というワードでヒットするよう記事を仕込む、ということです。さらに、「船酔い」や「トイレ設備」は高い確率で問い合わせがある要素なので、回答となる記事を用意しています。これによって効率よく記事を書くことができるだけでなく、お客さまにも役立つ情報を提供できるという一石二鳥を実現していました。

 自社の業界、サービスについて、よく検索されるキーワード、関連ワードを事前に洗い出しておくことで、さらに効果を高めることもできます。手間に思われるかもしれませんが、多少の根気でできますし、やっておくと後で助かります。検索結果の上位表示は非常に分かりやすく、文句のつけにくい成果になります。

2.既存評価軸との組み合わせ

「相鉄Style」は、相模鉄道が運営する、相鉄沿線のおすすめ情報を口コミで届ける情報サイト。「タウンライター」という公募で集められた一般の方々の手によるコラムを中心に構成されている

 そもそもブログ上で物販をしておらず、ニュースなどの告知を目的としている場合、「売り上げ」や、「見込み顧客の獲得数」などはそもそも評価軸として適切ではありません。そのような場合は、既存の広告手法で実施したらどうなるだろうと仮定して、コスト換算してみましょう。

 例えば、下記を算出してみることで、広告出稿した場合に必要となるコストに換算することができ、おおよその貢献度を知るための参考値が得られます。

  • ブログで得られたページビューを広告出稿で集めようとすると、費用がいくらかかるかを算出
  • ターゲットとなるエリアの人口に対し、ある一定期間中にその何%にリーチできたかをページビューで判断
  • ページビュー、ユニークユーザー、入り口ページとしてのブログの貢献度を時系列で計測

 ほかにも、ブログがある程度ページビューを稼げるようになれば、自社広告を掲載して他部署をサポートしたり、経費削減に貢献したりすることもできます。地域限定情報のポータル「相鉄Style」を運営する相模鉄道さんの場合、人に読まれてナンボという前提があります。そこで、ページビューとユニークユーザーを継続測定し、その数字を持って貢献度、影響度を社内にフィードバックしています。

相模鉄道グループ経営戦略室の宮川有子氏

 「地域の方々に見ていただくことが目的ですので、ページビューとユニークユーザー数は意識しています。継続的に測定していますし、その数字を報告することでサイトの貢献度、影響度を社内にフィードバックしています」


 ほかにも、Webサイト上での本業の告知や、リアルでしか紹介できていない情報をWeb経由でも発信するなど、ほかのエリアのビジネスに貢献することで、ブログの存在価値を高めることが可能になります。

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