ビジネスのプロセスを洗い出したら、ボトルネックの特定を行うわけですが、ここで適切な部分を選ばないと本当のボトルネックが解決できません。
例えば前に挙げた例で、(5)のプロセスにある、「意思決定プロセス」に時間がかかっていたとしましょう。この場合、ボトルネックが【意思決定】にあると考え、もっと短時間で考えることができるようにするため、ロジカルシンキングなどの思考法の勉強に取り組むべきだ、と判断するとします。
この判断は一見正しいように見えます。しかし、考えて決定することに時間がかかるというケースは、往々にして「考え方のスキルが弱い」ということよりも、むしろ「意思決定をするために必要な情報が集め切れていない」ということが理由となっている場合が多いのです。
だとすると、その人が学ぶべきことは思考方法ではなく、クライアントからきちんとニーズを引き出すためのインタビュースキルの方に力を入れなければいけません。
また、クライアントのニーズがきちんと引き出せていたとしても、プロジェクトメンバーに対してそのニーズをきちんと伝えられない結果、あなたが期待するような対応をメンバーがしてくれない――ということもあります。その場合は、自分の伝え方によってボトルネックが生じていると判断し、人にきちんと理解してもらえるような意思伝達の方法を学習する必要があるでしょう。
このように、一見ここに時間がかかっている、と思えるボトルネックの部分も、その本質的な要因は、その部分よりも前のプロセスによって引き起こされている、という可能性は常に疑っておくべきでしょう。
といっても、自分自身のビジネスで本当にどこがボトルネックになっているのか、を正確に見つけ出すことはそう簡単なことではありません。ここだと思った部分が、実はボトルネックではなかったということはよくある話です。実際は、ここだと思った部分をボトルネックだと仮決めして、それを解消していく行動を起こしていくしかありません。
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