キヤノンの新ドキュメントスキャナ「DR-C125」はScanSnapを越えたか?(前編)脱ガンジガラメの働き方(2/3 ページ)

» 2011年08月11日 09時30分 公開
[山口真弘,Business Media 誠]
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意欲的な独自機構――「ダブらんスキャン」「見たままスキャン」

 スキャンの機構についてもかなり意欲的だ。例えば紙を送る搬送部分だが、DR-C125ではキヤノンが「リタード方式」と呼ぶオリジナルの方式を採用している。これは通常のローラーとは別に、2枚以上の原稿が送られてしまった際にそれを分離させるための専用ローラー「リタードローラー」を備えるもので。キヤノンでは「ダブらんスキャン」と呼び、重送による読み取りエラーが起こりにくいとしている。

リタードローラーの仕組み(キヤノンのWebページより)
給紙の「非分離モード」はソフトウェアではなく、本体側面のレバーで物理的に切り替える

 またこれとは別に、ScanSnap S1500も搭載している超音波センサーによる重送防止機能を備えているのも心強い。超音波センサーによる重送防止機能を搭載していることがScanSnap S1500を選んだ決め手だったという人は多いはずで、ScanSnap S1500のユーザーとしては大いに気になるところだ。さらに2枚以上が重なった原稿、例えば複写伝票などをスキャンする場合に重送と判定しないための「非分離モード」は、ScanSnapでは搭載していない機能であり、要注目だと言える。

 さて、本製品では原稿のセットする方法において、ScanSnapおよび従来製品とで大きく異なる点がある。それは原稿の上部を向かって先頭にして給紙トレイに入れるのではなく、原稿の下部を向かって先頭に、しかもオモテ面が正面から見える状態でセットすることだ。


ScanSnap S1500では、原稿の上部を向かって先頭にし、オモテ面が下の状態でセットするが、本製品では原稿の下部を向かって先頭に、オモテ面が正面から見える状態でセット

 原稿を完全に見たままの向きでセットできるこの方式を、キヤノンではこれを「見たままスキャン」と呼んでいる。これがどの程度使い勝手に影響を及ぼすかも気になるところだ。なお、上下どちらかを先頭にセットするかはユーティリティー側で切り替えることも可能だが、表裏については変更はできない。

PDFやJPGのほかTIFやBMPで保存可能。コントラスト調整やモアレ除去にも対応

 解像度は、150dpiから600dpiまで対応。ScanSnap S1500の1200dpi(白黒)の解像度には対応していないが、特殊な用途でない限り、とくに大きな問題はないだろう。原稿の対応サイズは標準でA4、2つ折りの状態で最大A3まで。長尺モード時は最大3000ミリ、つまり3メートルまで対応する。

 読み取り速度は、300dpi時は白黒/グレースケールで1分あたり25枚(50面)、カラーで1分あたり15枚(30面)となっているほか、200dpiに解像度を落とすと白黒/グレースケール/カラーを問わず1分あたり25枚(50面)となる。ScanSnapではほぼ同一条件で1分あたり20枚(40面)なので、どちらが速いかは解像度やカラーモードに依存する。もっとも、このあたりはオプション設定によっても変動するので、メーカースペックだけでは判断しづらい。なるべく条件をそろえた上で、後編で詳しくテストしたい。


解像度は150〜600dpi。原稿サイズは通常時でA4までで、2つ折りでのA3スキャンや、長尺モードにも対応する

PDFやJPGのほか、TIFやBMPにも対応する。それぞれに詳細なオプション画面を用意

 保存形式はPDF、JPGのほか、TIFやBMPといった非圧縮形式、さらにはPPTX形式にも対応。補正機能としては、向き補正や傾き補正、白紙自動削除といった一般的な機能のほか、明るさとコントラストの設定、ガンマ補正、モアレ除去といった細かい機能も備える。

 さらに原稿中の特定の色を読み取らない「ドロップアウトカラー」や、プレビュー画面で明るさやコントラストを調整してから読み取る「プレスキャン機能」なども備えており、きめ細かさは突出している。自炊用途などで細かくクオリティをコントロールしたいユーザーにとってはうれしい限りだ。


明るさとコントラストの設定やガンマ補正も可能

モアレ除去機能も搭載している。自炊ユーザーは要チェックだ。画像回転機能では、読み取った全画像を等しく回転させることもできる

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