パソコンの節電どうしてる? MSの「Windows PC節電策」を試してみた節電DIY(1/3 ページ)

PCの節電に関してはマイクロソフトが発表した「Windows PC節電策」が参考になる。ただ、OSによって本当に消費電力が変わるのか、など疑問も残る。そこで実際に試してみた。

» 2011年08月26日 12時30分 公開
[奥川浩彦,Business Media 誠]

 オフィスでも家庭でもPCの消費電力は大きな存在。PCの節電に関してはマイクロソフトが発表した「Windows PC節電策」が大きな話題となった。Windows PC節電策は電力中央研究所の協力を得て、高精度測定器で検証したというもの。PCの使用時間の長い人はぜひ確認していただきたい内容だ。また同社では、PCの節電設定を簡単にできるように「Windows PC 自動節電プログラム」を無償で提供している。

 「Windows PC節電策」の概要は以下の通りだ。

  • デスクトップPCよりノートPCの方が消費電力が少ない
  • Windows XPよりWindows Vista、Windows VistaよりWindows 7の方が消費電力が少ない
  • 90分以内であればシャットダウンよりスリープの方が省電力
  • ディスプレイの明るさを40%に調整すると約23%の節電

 基本的に納得のいく検証だが、筆者が最初に気になったのは「OSで消費電力に差があるのか?」だった。検証用のPCの仕様を確認するとXPは2006年製、Vistaは2008年製、7は2010年製のPCでCPU、メモリー、HDD、ディスプレイの仕様が異なるモデルの比較だった。おそらくOSではなくハードウェアの違いで消費電力に差があると思われるが、その点は言及していない。

OS 消費電力
Windows XP 約63ワット
Windows 7 約63ワット

 そこで自宅のWindows XP PC(デスクトップ)にWindows 7をインストールし、同じハードウェアでOSによる消費電力の差を確認してみた。

 OSを立ち上げただけのアイドル状態を比較するとほぼ同じ値。分かりやすく表現するためにWindows 7のPCは省エネと書いているのだろう。

電源をシャットダウン? それともスタンバイ? それともスリープ?

 次に気になったのが「90分以内であればシャットダウンよりスリープの方が省電力」だ。細かなところまで読むとその時間は機種により40分だったり1時間50分だったりする。ホームページの資料では90分と書かれているが、PDFでダウンロードした資料には1時間45分と大きく記載されている。

 筆者はノートPCはスタンバイ(スリープ)が常用、デスクトップPCはシャットダウンを常用している。使用時間は圧倒的にデスクトップPCが多いので、確認のため検証してみた。

 検証を開始して疑問が発生。スタンバイで終了しても消費電力が63ワットから44ワットまでしか下がらなかった。BIOSを確認してみるとACPI(Advanced Configuration and Power Interface、電源管理の規格)Standby StateがS1(CPU/チップセット/メモリに通電した状態で待機)になっていた。これをS3(メモリ以外の通電をオフ)に変更するとスタンバイで5ワットまで消費電力が減少した。ちなみにこのPCの待機電力は4ワットとなっている。

 Windows XPでシャットダウン、スタンバイ、休止を比較してみた。最初のグラフは起動時の消費電力。シャットダウンで終了して起動、スタンバイで終了して起動、休止で終了して起動を比較している。マイクロソフトが行った高精度測定器で検証と違い、ワットチェッカーが1秒ごとに表示する値を動画記録してグラフ化したデータなので、コンマ何秒の間のピーク電力は計測できないため、参考程度に見ていただきたい。

 スタンバイからの起動が最も消費電力が少なく、20秒ほどで普通に使用できる状態になるので、待っている時間の消費電力の減少が大きい。すぐに作業に入れるので待ち時間のストレスも少なく快適だ。

 シャットダウンと休止は最初のBIOSを読み込む部分は同じで、Windowsの立ち上げで異なる動きをしている。どの段階で作業に入れるかというのは微妙だが、待ち時間はどちらも長い。休止からの立ち上げはデスクトップ画面が出るのが遅いので、より長く感じられる分ストレスを感じる。

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