今回はオフィスの節電と暑さ対策について考えてみよう。5月に秋田県庁が実施した節電実験から、エアコン、冷蔵庫、エレベーターなどのオフィス設備における節電を検証する。
今回はオフィスの節電と暑さ対策について考えてみよう。オフィスといってもガラス張りの高層ビルで窓が開かないオフィスもあれば、駐車場付きの1階だけのオフィスもありそれぞれ事情は異なるだろう。
東京のオフィスビルを訪問すると、エアコンの設定温度が高く暑い、照明も消していて暗い、一部エレベーターが停止している――という光景は日常的になっている。
秋田県庁が5月に行った節電実験(PDF)を公開しているので見てみよう。実験は10時〜11時に照明を全消灯、15時〜16時にコピー機51台(約3分の1)の主電源をオフといった方法で、1時間単位で節電対象を変更しながら本庁舎、第二庁舎の電力量の減少を確認している。節電対象と方法は以下の通りだ。
実験が5月に行われているのでエアコンは実験対象から外されている。
実験の結果、効果が高かったのは照明、そこそこ効果があったのはコピー機とPC、わずかに効果が見られたのは電気ポットとコーヒーメーカーとなっている。逆に効果が確認できなかったのはエレベーター、自動販売機、冷蔵庫だ。
電気器具 | 消費電力(キロワット) | 削減率 |
---|---|---|
照明器具 | −120 | −19.1% |
電気ポット、コーヒーメーカー | −8 | −1.3% |
コピー機 | −30 | −4.7% |
自動販売機 | − | − |
エレベーター | − | − |
PC | −24 | −3.9% |
冷蔵庫 | − | − |
窓際など消せる照明は極力消す。コピー機の稼働台数の削減、コピー枚数の削減や使用時間の制限による稼働時間の削減は効果がありそうだ。県庁に電気ポットが132台もあることに驚きつつ、夏に熱いものを飲まない筆者は「夏にお湯を沸かさなくてもいいのでは」と思ったりする。そこそこ節電効果のあったPCに関しては、種々検証をしてみたので、後半で詳しく紹介したい。
節電効果が確認できなかったエレベーターに関して調べてみた。エレベーターは人が乗る箱と重りが滑車でつながっている。重りは「箱の重さ」+「定員の半分の重さ」に合わせてあるそうで、20人乗りなら10人乗ったときに重さが釣り合い最もモーター負荷が減り電力を使わない構造らしい。
知り合いの会社は通勤時間にエレベーターが大渋滞となり10分待ちになっているそうだ。ブザーがなるほど満員の状態で各階停止すると最も電力消費が増えるはず。空の状態でも満員時と同様に電力消費は増えることになるので、混雑する時間帯は稼働台数を増やし、閑散となる時間帯は台数を減らすと節電ができそうだ。とはいえ、エレベーターの消費電力はビル全体の1%にもならないという説もあり、実際にはエレベーターも間引き運転は節電に関係ないのかもしれない。
自動販売機は元々省エネ化が進んでいるそうで、以前からピークシフトなどにも対応しているので、わずかな時間コンセントを抜いても節電効果は少ない。家庭では消費電力の比率が高い冷蔵庫もオフィスではそれほど影響がないようだ。
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