インタビュー
» 2011年11月28日 12時40分 UPDATE

「超」整理手帳の野口悠紀雄氏に聞く:Googleで変わった――「超」整理手帳と野口悠紀雄のクラウド仕事法 (1/2)

超「超」整理法の出版から約3年、クラウドを活用した仕事法に関する書籍を新たに出版した野口悠紀雄氏に、クラウドとのかかわり方や紙の手帳を併用したスケジュール管理、「超」整理手帳のiPhone/iPadアプリについて聞いた。

[上口翔子,Business Media 誠]
sk_noguchi.jpg 野口悠紀雄氏

 クラウドコンピューティング(以下、クラウド)の登場で、仕事のスタイルが変化したビジネスパーソンは多い。「超」整理法を考案し、それを基にした手帳(「超」整理手帳)を手掛けた開発者である早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問・野口悠紀雄氏もその1人だ。野口氏は2008年に出版した『超「超」整理法』(1470円、講談社)の中でGmailを使った情報整理の仕方を紹介しており、それまで紙のみで行っていたスケジュール管理やタスク管理の仕方ががらりと変化した旨を述べている。

 さらにここ数年で一気に普及したスマートフォンやタブレット。野口氏はクラウドとの親和性が高いそれらのデバイスも利用している。最近ではじゃばら式スケジュールシート、さらに最新版ではメモ帳も付けた「超」整理手帳のアプリをリリース(iPad版は2010年12月、iPhone版は2011年11月)し、自身でもフル活用中だ。

 そんな野口氏はこのたび、11月24日にクラウドやスマートフォンがビジネスパーソンの仕事能率にどう影響を与えるのか、その可能性と実際のノウハウをまとめた『クラウド「超」仕事法』(1500円、講談社)を出版した。出版の背景や「超」整理手帳のスマートフォンアプリについて野口氏に話を聞いた。

クラウドのせい!? ここ3年で「だらしなくなった」

――超「超」整理法の出版から約3年がたちました。今回、その続編とも受け取れるクラウド「超」仕事法を出版した経緯を教えてください。

野口氏 超「超」整理法を出版した当時(2008年)にもクラウドはありましたが、それほど一般的ではありませんでした。超「超」整理法のタイトルにクラウドを使うか迷ったのですが、結局1つの節のタイトルに入れたのみです(第2章3節の「近づくクラウド・コンピューティング」)。この3年でクラウドが世の中に浸透し、スマートフォンが普及しました。今回の出版はここであらためてクラウドが日常、仕事の中でどう活用できるかをまとめたものです。

――超「超」整理法を出版したころ野口さんは「グーグルフォビアだった(恐怖心、苦手意識を持っていた)のがGmailを使い始めたことでクラウド(Gmail)を中心に仕事をするようになった」と言っていました。現在、野口さんの中でのクラウドの使い方は当時から変わっていますか?

野口氏 一言で言うと非常にだらしなくなりました。具体的には、以前使っていたSugarSyncを今ではほとんど使わなくなりました。PC内のローカルにあるフォルダがいいかげんになり、多くのデータはGmailの下書きに残しています。つまり、過去のデータはGmailのログ検索で見ています。SugarSyncはPC(ローカル)との同期なのでPCのフォルダがしっかりしていないとあまり意味がないですよね。よって皮肉にもあまり使わないという結果になりました。これがだらしないと表現した理由です。

野口氏 スケジュール管理も同様です。「超」整理手帳のアプリはGoogleカレンダーと同期しているので、紙ではきちんと管理しなくなりました。紙の手帳はどちらかと言えばメモ書き用です。紙に書いたものをスマートフォンで撮って、写真データとしてアプリに上げる、という使い方をしています。

野口氏 逆に言えば、いいかげんな使い方をしていても仕事ができるようになったということです。クラウドを使えば細かいことを気にせず、時間も使わずに仕事ができます。

クラウド活用で逆に増えた「紙に手書き」

――紙とクラウドを使う比率はどうでしょう? クラウドを使う時間が多くなった印象を受けますが。

野口氏 いいえ、逆です。紙に手書きする頻度が明らかに多くなりました。スケジュールも超整理手帳に書いて予定を立てますし、メモは紙に書きます。ただし保存先は全てクラウドです。先ほども言ったようにスマートフォンで撮影したものをクラウドに保存します。クラウドを活用したデジタルオフィスは“ペーパーレスオフィス”ではありません。“ペーパーフルオフィス”ですね。

――Gmailの下書きと紙に手書きでいうと、どちらの頻度が多いでしょうか?

野口氏 両方同じくらいですね。ただし初めから内容をGmailの下書きに書くことはありません。アイデアを思い付いたタイミングで記録する方法としては、紙が一番だからです。典型的な例では散歩中にアイデアが思い付いた時など。紙のメモ帳にその場で記録できます。スマートフォンもありますが、私の場合はフリック入力があまり早くないので、やはり紙に手書きですね。

――クラウドを使うことで、手書きへの意識が高まったということですね。

野口氏 そうです。全てクラウドに保存できるので。

――スマートフォンの普及で、クラウドを仕事にも活用するユーザーが増えています。一方で、クラウド「超」仕事法の中でも触れていましたが、企業単位で見ると日本はクラウドを活用しきれていない(米国などど比較して遅れている)印象があります。その辺は何が原因なのでしょうか?

野口氏 日本企業はセキュリティを軽視しているが故にクラウドを使っていないといえるでしょう。重要なものは自社の管理下に置いておこうとする保守文化が最大の原因です。セキュリティが心配だったら、むしろクラウドを活用すべきです。ソニーですら情報漏えいが起きました。もしもデータをGoogleのサービス(Gmailなど)に保存していたらどうでしょう? グーグルの管理下で安全に保管されています。セキュリティのことを考えているからクラウドを使わない――これは重大な認識違いです。Googleもオペレーション・オーロラと呼ばれるサイバー攻撃被害は受けていますが、致命的な情報漏えいはないと言えます。

       1|2 次のページへ

Copyright© 2016 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

Loading

ピックアップコンテンツ

- PR -

注目のテーマ

マーケット解説

- PR -