プーペガールの会員数を10倍に、現どこでも社長の森永佳未さん「美人すぎる○○」の経済価値は本当か(2/2 ページ)

» 2012年03月21日 15時00分 公開
[遠竹 智寿子,Business Media 誠]
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Facebookで情報共有、Skypeを使った打ち合わせ

iPhoneは手放せない

 森永さんのオフィスは自宅兼。1日のスケジュールはどうなっているのだろう? 「平日は10時ごろから業務を開始。サイトの改善やコーディングなどDECOLYの運営に関わる作業や、企画を請け負っているプロジェクトの資料作りなどを行います。13時ごろにお昼を食べて、また作業に復帰。17時〜18時くらいまで仕事をしています」

 「お昼は優雅にランチミーティングでもしているのでは」と勝手に想像していたのだが「普段はパンをかじってまたすぐ仕事という感じですよ(笑)」と自然体。週に2〜3度は企画の定例会などで外に出る。ちなみにコーディングは前の会社を辞めた後に独学で学んだという。

 タスク管理はどうやっているのか。「前の会社にいたころからタスク管理表を“自作”していたので、それが身についています。管理表と言ってもExcelで作った簡単なもので、優先順位と納期を入れて、あとは自分だけで済む作業、人が絡む作業を色分けしています。例えば「今日はこれをやるぞっ!」って決めたら、こもって作業したりします」

 その他には、Facebook上のグループ機能を使った情報共有、Skypeを使った打ち合わせ、Googleドキュメントを使った発注先とのスケジュール管理や進行チェックなどを行なっているそうだ。iPhoneでよく使うのは写真加工系のアプリで、2桁以上のアプリを試しているという。

 「iPhoneで重宝しているのはマップ機能ですね。それからTwitterやLINEなどのコミュニケーションアプリも仕事でよく使います。メモは、メールを書いて自分宛に送って確認していますね。以前はEvernoteを使っていたんですけど、書いた事を忘れちゃうので……」

 メールと言えば失敗談もあった。「以前の会社で社内の偉い人に呼び捨てでメールを送ってしまったことがあります……」。これにこりて以後は文章や言葉遣いには気を付け、メールの送信前には必ず確認するようになったのだ。

仕事道具を見せてもらった

落ち込んだら『スラムダンク』や『ガラスの仮面』

 森永さんは、普段からテンションがあまり上下しないほうだというが、それでもたまに落ち込むこともある。そんな時に気持ちを引き上げる森永流の方法はなんと、やる気のでそうなマンガを読むことなんだとか。「『スラムダンク』や『ガラスの仮面』を読んで、『マヤが頑張ってるから私も!』みたいな感じで気持ちを上げます(笑)」

 森永さんの話を聞いていると問題に直面した時などでも、あわてず臨機応変、自己解決していくタイプに感じる。本人も「誰かに相談するにしても、もちろん、まずは自分で調べてからですね」とのこと。こうした彼女のキャラが、自然に協力してくれる人たちを引き寄せているのではないだろうか。

日本女子の“カワイイ”は海外でも通用する

 さて、そろそろ経済効果を値踏みしなくてはいけない。現在のDECOLYの運営状況はどうなのだろう。「今のところ、会員数は約300人、月間PVが1万弱程です。ターゲティングした層にどうリーチしていくのか、まだ苦戦している最中です。口コミ力も大事ですし、自分自身が新しいことに挑戦したいこともあって、手芸教室に参加したりもしています」とのこと。

 今後の展開については「プーペの会員は50%程が海外の人たちで、米国が最多。次がアルゼンチン、チリ、ブラジルといった中南米からでした。日本の女子が感じる“カワイイモノ”は、海外でも通用すると考えています。私自身、日本の女の子が作る“ごちゃごちゃしたかわいいモノ”が好きなので、サイトのテイストもそんな感じなんですが、同じようなテイストが好きな人たちが集まってきた結果、カワイイモノの集合体ができていくのではないでしょうか」

 現在、ハンドメイドの作品を展示し販売させるといった同様のサービスが、すでに10サイト以上もある。そんな中でDECOLYでは「カワイさにこだわって差別化していきたい」という。

 例えば、現在ギャラリーに作品の写真をアップする時には、リボンやレースをあしらったフレームを選べるのだが、これも「自分の作品は3割増しくらいに見せたいんですよ」という、作り手の女子の気持ちを自ら理解しているからこそのアイデアだ。「日本一可愛いものが集まるサイト」を目標に、まずはスマートフォン対応を行っていくという。

 また森永さんは2月から、カバンの中身を写真投稿して共有するWebサービス「インマイバッグ」にも参加している。サイブリッジが前運営者から譲り受け、サイブリッジ、ピクシブ、どこでもの3社でインマイバッグ株式会社を2月29日付で設立。森永さんは、ユーザーコミュニティの運営やインタフェースの監修などを行っていく。

自分で作ったアクセサリーとiPhoneを持って

 森永さん自身に「美人すぎる〜」の経済効果はどれくらいあると思うか聞いてみた。「私には(経済効果は)ないんじゃないんですかね(笑)。一般的にいつもオシャレをして、ブログに写真を掲載するなど、ちゃんとしていたら効果あるのかもしれないけれど……」と謙虚な様子。「でも、もしかすると女性が経済効果を作りやすいのは“変身”できるからかもしれないですね。私自身も普段はパンツ姿でノーメイクだけれど、以前のプーペガールのイベントの時などは、それに合わせた格好にしたり、手芸教室に行く時は森ガール風だったりしました」

 とかく男性が目立つIT業界だが、女性だからこその話もある。「インマイバッグのリニューアル時に、その時の運営者が男性ばかりで男性っぽいサイトになってしまうのではないかという懸念もあり、人づてで声をかけてもらいました。ありがたいです。女性向けにサービスを作りたい会社が多いのに、女性のプロデューサーは少ない。女性が欲しいものができていない。他にもそんなサービスはたくさんあって、手をあげたらうちに来てよ! という会社は意外と多いのかも知れませんね」。

森永さんの経済効果は……

 さて、最後に勝手に査定! 仮に「経済効果10億円」を年間ベースで考えるとすると、月間では約8000万円の計算だ。有名タレントのCM出演料1本分のギャラと考えれば短期的に見れば効果的な数字である。

 プーペガール時代、森永さんのメディア露出は、結果的に会員数の伸びにつながった。大手アパレルとのタイアップや広告効果を考えると、実際その効果は数億円にはなりそう。子会社化した時点ではゼロだった収益の礎を作ったのも確かだ。またプーペガールを通じて、女性会員たちの「アレ欲しい、コレ欲しい」という消費活動を促せたのではないだろうか。

 現在手がけているDECOLYや「インマイバック」は、両方とも「モノ」を通じてつながるソーシャルサービス、ソーシャルメディアという位置付けだ。例えばDECOLYが成功すれば、これまで自分用あるいは友達へのプレゼントなど作ることで終わっていたハンドメイド作品が、商品としてグローバルに流通していくことになる。これは新しい市場だ。

インマイバック

 普段から森永さんと仕事をしているというpixivの片桐孝憲社長やサイブリッジの濱田優貴副社長からもコメントが入った。

pixiv片桐さん

 美人はお菓子や花などのプレゼントをもらいやすいと聞いたことがあります。毎日、50円のあめを1つもらった場合、20年間で36万5000円にもなります。36万5000円も美人は得するんです。僕は美人への敬意を表するため、森永さんに会うたびにあめをあげようと思っています。


サイブリッジ濱田さん

 森永さんがジョインしてから、会員数が伸びています。美人はやっぱり人を惹きつけますね。僕もあめをあげようと思います。


 筆者は「あめ」で済むとは思わないが(苦笑)森永さんを見ていると、「美人すぎる〜」という要素はビジュアルでの効果だけではなく、その人の持つ雰囲気、感性、個性などが組み合わさっていると思う。プーペガール時代の実績からみて、現在は「3億円」程の効果、日本女子のモノづくり市場への期待も込めて、2年後には「10億円」に! ――という判定としておこう。

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