インタビュー
» 2013年01月28日 09時55分 UPDATE

個人サイト管理人の「目」:「虚構新聞」らが“ネットで光る”ワケ 人気サイトの共通点を探る (1/3)

ブログやSNSの登場で、誰もが容易に情報発信をすることが可能になった。だが、それは同時に情報量の激増を招いたため、発信した情報がすぐに埋もれてしまうようになった。そんな難しいネット時代に、ネットで人気を得るための秘訣を、人気個人サイト運営者に聞いた。

[村上万純,Business Media 誠]

 今や、誰でもブログやTwitterで情報発信できる時代。とはいえ発信したコンテンツは、爆発的に増えた情報の中に埋もれてしまいがちだ。近年では、認知度やイメージの向上を目的に、企業でもネットやSNSを活用するようになったが、その難しさに手を焼いている担当者も多いことだろう。そこで引き続き、1990年代半ばのネット黎明期から2000年前後のブログ草創期以降に個人サイトの運営を始めた“ネットのベテラン”たちに意見を伺った。

 連載の第1回第2回では、ネットのネガティブな側面である“炎上”に焦点を当てた。今回は趣向を変えて、有効利用する方法に着目し、サイトや個人の人気の得方を考える。「虚構新聞」「絵文録ことのは」「まなめはうす」「ー`)<淡々と更新し続けるぞ雑記。ωもみゅもみゅ」が人気サイトになるまでの経緯をひもときつつ、“ネットで光る”サイト運営や記事の書き方のポイントを学んでいこう。

人気サイトの歴史に学ぶ、その共通点

ALT メインサイトの「まなめはうす」は2011年に開設15周年を迎えた

まなめ 1996年に「まなめはうす」を開設した当初、サイトを見てくれる人はほとんどいませんでした。

 アクセスが伸びるようになったのは、同じように個人サイトを運営していた人たちが、各自のサイトで取り上げてくれるようになってからですね。

 当時の個人ニュースサイトって、お互いのサイトを情報源にしていたので、どこも似たりよったりになっていました。しかも、ジャンルがアニメやゲームなどの「オタクコンテンツ」に偏っていたんです。

 でも、僕はそれらと差別化したかったので、ほかのユーザーが見ていない「はてな」などを参照してニュースを取り上げていました。僕のサイトは今でも“はてな色”が強いと思います。

 差別化のほか、自身の趣味も織り交ぜて個性を出すことも大事だと思います。人気が出るサイトは、「誰が見ても絶対面白い」という大衆性と「俺の趣味はこれだ」という個性を両方確立できていますよね。

ALT 以前より更新頻度は落ちたが、1度の更新で300〜400件のニュースを紹介することもある

さらしる 「ー`)<淡々と更新し続けるぞ雑記。ωもみゅもみゅ」をオープンした2000年ごろは、知人からのアクセスしかありませんでした。

 ですが、人気ある個人サイトで僕の記事が紹介されたのをきっかけに、アクセスがどんどん増えていきました。ほかのサイトとの差別化は、実写ドラマの感想やガジェットのレビューなど、ボリュームのある記事を定期的に掲載することで、できていたのではないかと思います。

 今でこそ速報性はないですが、そのような記事はかなり昔に書いたものでも、検索エンジン経由で定期的にアクセスがありますね。

ALT 松永氏は「論考系ブロガー」という通称。その名の通り、ブログにはさまざまな分野の論考が載っている

松永 「絵文録ことのは」の前身となる、ブログ「ウェブログ@ことのは」を立ち上げた2003年は、ブログブームの始まりの時期でもありました。注目を集めるにあたり、始めるタイミングがよかったんだと思います。

 サイト制作の面で見てもそうです。ちょうど「Movable Type」などの使い易いCMSツールが登場した時で、いちいちコードを書いてサイトを更新していたころと比べ、断然便利になった時代でした。

 ブログが始まったころ、ユーザーの大半は技術者だったので、当然内容も技術者向けのものばかり。そんな中で私は、「ブログの使い方」など、ほかで取り上げられていないネタの調査や考察記事を掲載していきました。

 そうやって独自の道を歩んでいるうちに、「論考系ブロガー」という位置付けで評価され、ほかのブロガーと差別化できるようになりましたね。

 もともと、ボリュームのある文章を書くのが好きだったので、ブログが性に合っていたんだと思います。たぶん、そのおかげで今の自分やサイトがあるんじゃないでしょうか。その代わり、文字制限のあるTwitterは向いてないなあ、と感じたりしますね(笑)。

UK 「虚構新聞」以外にも、普通のコラムやニュースを扱う別のサイトを運営しているんです。でも、そこまで強い野心があったわけではないのですが、ほかのニュースサイトを見ていると、知識の専門性や情報量ではどうやっても太刀打ちできないなと、なんとなく感じました。

 そこで思いついたのが、絶対ほかの人がやらないであろう、パロディでニュースそのものを作ってしまうことだったんです。ためしに嘘のニュースを数本書いてみたところ、ちょうどエイプリルフールに掲載したのもあって、思った以上に反響があったんですね。そんな経緯で、虚構新聞を2004年にオープンしました。

ALT 自作した「嘘のニュース」が定期的に配信されているが、時折「本当のニュース」も混ざっている

 人気サイト運営者は、ほかとは差別化した、独自性のあるサイト作りを皆実践していた。自分の強みを自覚し、それを反映させることが人気サイトになるための近道であると言えよう。このほか、松永氏でいえばブログを始めたタイミングがよかったことや、まなめ氏とさらしる氏なら、ほかの個人サイトで紹介されたりなど、偶然的な要素も関係するようだ。

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