仕事は楽なのに、心は疲れる――なぜこうした現象が起きるのかボクの不安が「働く力」に変わるとき(2/3 ページ)

» 2013年03月06日 11時00分 公開
[竹内義晴,Business Media 誠]

精神的に追い込まれたエピソード

 2つめの経験は、肉体的なしんどさはあまりありませんでした。忙しい時でも22時ごろには帰っていましたし、休日や夜間に呼び出されることも少なかったのです。

 けれども、精神的にはかなりしんどかった。がんばりを認められるような言葉はなく、あるのは「スケジュールを守れ」「効率よく作れ」「不具合を出すな」だけ。私たちは“交換可能な部品”ではありません。自分の「存在」が認められなかったので、やる気が薄れていくことを感じました。

 またプライドを傷つけられたときもありました。私はプログラマーの仕事が好きで、誇りを持っていたのですが、ささいなトラブルが起こったときに「あなたはスキルがない」と言われたときは本当にショックでした。

 このような職場の空気だと、自分に火の粉がかかるのを避けるために、同僚が困っていてもできるだけ関わらないようになってきます。その結果、職場全体のコミュニケーションもギスギスしてきました。

 仕事に行きたくない……。仕事に負けそうな毎日でした。

仕事と生活のバランスよりも、からだとこころのバランスを

 ワークライフバランスという言葉がありますよね。ひとことで言えば「仕事と生活のバランスを取りましょう」なのですが、ワークライフバランスを労働時間で見るのはちょっと違うかなと思っています。

 私の経験から言えば、仕事と生活のバランスというよりも、心と体のバランスのほうが仕事のやる気や充実感に影響を与えるのではないかなと思っています。なぜなら2つめのエピソードのような環境で、仮に17時に帰ることができたとしても「仕事に負けそう」という気持ちになると思えるからです。

 逆に1つめのエピソードのように、肉体的にはしんどかったのに最後までやりきれたのは、同僚や上司との関係性、存在を認めてくれる職場の空気にあったからこそ。そういう意味では「存在が認められ、心が満たされていることって本当に大切だな」と思います。

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