どんなにリアルの机がきれいに整頓されていようと、PCのデスクトップがアイコンで埋め尽くされてしまうと仕事に支障をきたします。お気に入りの壁紙が見えるかどうかも大切かもしれませんが、それ以上に、PCを使ったタスクが整理されておらず、効率が悪くなっていることの証拠だからです。何と言っても、今や仕事の大半はPCの中で行われているのです。
僕は、デスクトップに常に見えているアイコンの数を2列(行)以内に収めるようにしています。
ディズニーランドには、何千台も駐車できる大きなパーキングが複数あります。しかし駐車している車はそれぞれ種類も色も違いますし、最近の車はリモコンを押せばテールランプが光るため、大体の位置さえ覚えておけば、比較的簡単に自分の車にたどり着けます。
一方、アイコンにそんな機能は備わっていませんし、もとはすべて自分でその場所に置いたのですから、いわばすべて自分の車で埋め尽くされている駐車場なのです。そして同じようなアイコンばかりで視認しづらくなれば、その分、今必要なタスクにたどり着く時間がどんどん奪われていくことになります。
デスクトップで起きている渋滞は、満車になっているディズニーランドの駐車場よりも、ずっと厄介で、深刻な問題なのです。
デスクトップに散在しているアイコンを分類してみると、大概の場合はアプリケーション(プログラム)へのショートカットか、ファイルやフォルダ(あるいはそれらへのショートカット)、そしてメールソフトを使用している場合のメッセージ(またはそれへのショートカット)であることがほとんどです。
大企業では、ローカル(自分のPCのストレージ)ではなく、すべて共有のサーバに保存するよう決められている場合もあります。しかしアイコンのデザインは、ファイル本体であろうとショートカットであろうとほとんど変わりません。
そして、文書系のファイルは大抵白っぽいアイコンであることが多いため、依存ちゃんのデスクトップも、全体的に白っぽい印象を受けるのです。
何事も、元から断つことが大切。デスクトップにアイコンが作られてしまう過程が分かれば、整理するきっかけがつかめるはずです。
デスクトップには、なぜアイコンが散らばってしまうのでしょうか。依存ちゃんも、自分のデスクトップをどうにかしたいという気持ちは持っているようです。ここは、僕が直接話を聞いてみましょう。
「山岡さん、すごいデスクトップですね。壮観ですよ」
「え〜そうですか〜。本当は○○さんの笑顔で癒されたいんですけれどね〜」
「せっかくかわいい壁紙なのにね。どうしてこんなにアイコンだらけになっちゃうんですか?」
「それが、自分でもよく分からないんです。時々削除しているんですけど、気づいたらまたこうなっていて……。あっ、やっと来た! ごめんなさい、ずっと待ってたメールが届いたんで、ちょっと失礼します」
そう言って、依存ちゃんは1通のメッセージを開きました。「あーもう、やっと来たんですよこの見積もり! 前にもお願いしたことのある案件で、そんなに難しくないはずなのに、頼んでから1週間も待たされたんですよ〜。それで私がアカハナに『遅い!』って怒られるとか、ありえなくないですか?」
依存ちゃんはプリプリしながら、添付されたExcelのファイルをデスクトップにドラッグし、さらにメーラーからメッセージもドラッグしたのです!
「それだ!」
「わっ! もう、やだー。驚かさないでくださいよ〜。どうしたんですかあ?」
添付ファイルをドラッグ&ドロップするな!
ファイルやフォルダ、そしてメールのメッセージのアイコンが散らばってしまう最大の原因は、メールと添付ファイルにあります。依存ちゃんは、今のアクションだけで、デスクトップ上に2つのアイコンを生成してしまったのです。
まず重要なメールのメッセージをデスクトップ上に直接保存するやり方は避けてください。メールはあくまでメーラーやブラウザを通じて読み、重要ならマークを付けるなどしておきます。あとから探す場合は、差出人や読んだ本文の内容をキーに検索して探すと決めておけばよいのです。
一方、添付ファイルについては工夫が必要ですが、やはりどのように処理するかをあらかじめ決めておけば、渋滞は劇的に回避できます。EvernoteやDropboxなどのオンラインストレージ上にあるファイルを保存する場合や、宅ふぁいる便、filestorageなどのファイル転送サービスを使う場合でも、基本的には同じです。
添付ファイルを開くとき、多くの人がとっている行動パターンは、大抵次の3つのどれかです。
このうち、依存ちゃんのようにデスクトップを散らかしてしまう行動は2番目のパターンのあと放置している場合だけで、残りの2つの方法を心掛けていれば、取りあえず見た目上のデスクトップの美しさは保たれるはずです。その点を、机は破滅的に汚いナダレがなぜか徹底しているのは面白いところです。
でも、もう一度思い出してください。僕たちは、決して整理整頓をするために仕事をしているわけではありません。
PCを使った仕事をできるだけ効率的に行うという観点からは、実はこの3つ、すべてほめられない行動なのです。
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