効果を最大化する“褒め方”の極意田中淳子の人間関係に効く“サプリ”(2/2 ページ)

» 2013年08月29日 11時00分 公開
[田中淳子,Business Media 誠]
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 改善点についても同じだ。

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 「こことここを直したほうがいいよ」と一方的に指摘するのも簡単だが、本人がどう感じているかをまずは聴いてみる。「どこか難しかったところは?」「困っているところは?」「特にアドバイスをしてほしい部分はある? それはどこ?」などと水を向ける。

 「実は、この数字の加工の仕方がこれでいいのかな、と自分でも自信なくて。整理する際、月単位でまとめていいのかなと思ってます」「最後のブロックでの文章が“何を言っているのか分からない”ものになっているような気がして、不安です」などと、部下・後輩自身が語った部分についてまずは詳細にフィードバックやアドバイスをしてみる。

 その上で、部下後輩が気づいていない箇所について言及するとよいだろう。

 相手(当人)の言い分を聴く。「結果」だけではなく、「どうやって取り組んだか」といったプロセスも含めて言うように促すのが、うまいやりかただ。

 「こういうアウトプットを作成しました。ポイントは、○○と××を盛り込んだ点です。なお、これをするのに、隣のチームの□□さんに相談に乗ってもらい、顧客視点でのヒントを頂きました。そのヒントを生かしたのが、××のグラフです」などと述べ、「なるほど、そういう点に着目してみればいいのだな」と上司は理解する。

 「では、まず、盛り込んだというポイントの○○と××について言うね。確かに……」

 「□□さんにもアイディアを出してもらったんだね。複数の考えを入れるのはいいね。××のグラフも確かに、顧客視点に加工されていると思う」

 などと、本人が述べたポイントを中心に、まずはフィードバックする。

 そして、「さっき自分で言っていたこと以外で、私が気づいたことを言うね」と前置きし、「△△とこの図表についてなんだけど、これは、流れが理解しづらい気もするので、順番を入れ替えたらどうかな。なぜかというと、今回、お客様は、この技術にして詳しくはない方ばかりなので、理解しやすい順番というのも考慮したほうがいいと思うんだ」――と、こんな風に上司や先輩ならではのコメントもする。

 本人の気づき以外に、異なる視点からのフィードバックも与えられるため、部下や後輩の成長をより支援することができる。

著者プロフィール:田中淳子

田中淳子

 グローバルナレッジネットワーク株式会社 人材教育コンサルタント/産業カウンセラー。

 1986年上智大学文学部教育学科卒。日本ディジタル イクイップメントを経て、96年より現職。IT業界をはじめさまざまな業界の新入社員から管理職層まで延べ3万人以上の人材育成に携わり27年。2003年からは特に企業のOJT制度支援に注力している。日経BP社「日経ITプロフェッショナル」「日経SYSTEMS」「日経コンピュータ」「ITpro」などで、若手育成やコミュニケーションに関するコラムを約10年間連載。


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